「ナナメウエをつくる」を提供するピラミッド計画
ヴィレッジヴァンガードでのマネジメントやエンタメ系企業での営業活動、さらにワークショップデザイナーやイベンターとしても実績を積んできた八住さんは、2019年に、満を持して、自身が代表を務める「ピラミッド計画」を設立した。八住さんの経歴同様、「ピラミッド計画」という名称はユニークなものだが、そこにはどのような意味が込められているのだろうか。
八住 ピラミッド計画は、「ユニークな仕掛けの場やプログラム」を提供し、「一人ひとりが個性ある面白いアウトプット」をすることで、「組織、個人、ビジネスの成長」をサポートしています。「ピラミッド」という言葉には、私がサービスを提供するうえで信条としている2つのことを込めています。ひとつ目は、「まだ形になっていない皆さんの希望の実現をお手伝いすること」――平面の三角形のそれぞれの点から「ナナメウエ」の点を提供することで、立体のピラミッドの形になるというイメージです。ふたつ目は「ワクワクや発見につながる面白さを、研修やワークショップなどの体験を通して提供すること」――こちらは、未知なるピラミッドを探検するイメージです。
「ナナメウエ」は、私の事業のキャッチコピーで、ピラミッド計画は「ナナメウエをつくる」を提供し、私は研修講師としても、「ナナメウエ」という概念を大切にしています。一般的に、「ナナメウエ」という言葉には“とんがっているイメージ”がありますが、「他とは違う“ナナメウエ”のプログラム」「“ナナメウエ”に視点を上げる」といったようなフレーズで、私は「ナナメウエ」のイメージを皆さんに伝えています。
「ナナメウエ」の価値をメッセージしながら八住さんが設計する研修は、オリジナリティにあふれ、ワークショップデザイナーやイベンターとして培ったキャリアやエンタメ業界での経験値が注入されている。
八住 私の実体験で言えば、ヴィレッジヴァンガードのPOPは、他のお店にはないもの、記憶に残るものが多いです。また、POPだけではなく、いろいろな仕掛けもあります。例えば、「ドラゴンボール」のグッズの隣に電子ジャーを並べたり……ピッコロ大魔王が電子ジャーに封じ込められたエピソードからの着想ですが、原作を知っている人は「あ、ピッコロだ!」と反応して、面白がってくれます。そうすると、商品のことも忘れないし、誰かに伝えたくなります。イベントやファシリテーションの場づくりの研修などでは、私はそうした具体例や手法も交えながらお話ししています。
「ナナメウエ」を心がけるにあたり、研修受講者にお伝えしているのは「面白さ」を大切にすること。「面白さ」は、単に「笑う」という行動だけではなく、「発見する」「興味を持つ」「目の前が明るくなる」など、いろいろな行動が付随します。講師の私自身は、気づきや発見のある「面白い学び」を皆さんに提供することで、記憶に残る研修を実施したいと思っています。研修の場で私がお伝えしたことを話のネタとして広げてもらえればうれしいですね。