「“ナナメウエの”ユニークな仕掛けのある場」を提供し、「一人ひとりの、個性ある“ナナメウエの”面白いアウトプット」を促進し、「組織・個人・ビジネスの“ナナメウエの”成長」をもたらすことを生業にしている研修講師がいる。八住敦之さん(ピラミッド計画・代表)――ヴィレッジヴァンガードの店舗でのマネジメント経験やイベント、ワークショップなどの場づくりの経験を生かし、オリジナルな発想とプログラムで「アイデア創発」や「リフレクション」研修などを行い、企業の注目を集めている。八住さんがメッセージする“ナナメウエ”とは何か? 「HRオンライン」が話を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)
*「リフレクションカード®」の商標登録マークは本文においては省略しています。
「“場”について、もっとアカデミックに学びたい」
研修・講座・ワークショップの企画運営を手がける「ピラミッド計画(*1)」の代表であり、自ら研修講師としても活躍している八住敦之さん。「ピラミッド計画」の事業内容は、企業コンサルティングや販促支援、学習ツールの開発など、多岐におよんでいるが、そこには、八住さんが現職に至るまでのユニークなキャリアが反映されている。
*1 ピラミッド計画は2019年(令和元年)5月1日設立。
八住 私は、もともと、広告やエンタテインメントのクリエイティブな分野に興味があって、大学を卒業した後は、CGを学ぶ専門学校に通ったり、広告デザイン会社の企画営業の仕事に就いたりしました。そんなある日、目に留まったのが、「ヴィレッジヴァンガード」のアルバイト募集の貼り紙で、「ここで働いてみたい!」と飛び込んで、アルバイトを経て社員になり、店長としてマネジメント業務に携わりました。ヴィレッジヴァンガードにはちょっと変わったバックグラウンドを持っている方も多く、そのような方たちに囲まれながら学んだことが現在の私のキャリアに強い影響を与えていると感じています。ヴィレッジヴァンガード退社後は、いくつかの企業でエンタメ系の商品企画や販売など、主に小売業を経験してきました。
それから、仕事と並行して、自由大学(*2)にも通いました。そこはキュレーションや占い、日帰り登山など、さまざまな分野の講義があって、とても面白い学びの場でしたね。縦のつながりも横のつながりもさかんで、いろいろなコミュニティやミーティングに参加したり、自分でイベントを企画したりしているうちに「“場”って面白いな」と、どんどん思うようになっていったのです。
*2 自由大学は、東京都港区南青山を本拠点に、株式会社スクーリング・パッドが運営。
「“場”について、もっとアカデミックに学びたい」と考えた八住さんは、有名私立大学のワークショップデザイナー育成プログラムも受講。“場”をつくることの面白さにのめり込んでいった。そして、友人たちとイベントやワークショップを行ううちに、「“学びの場”の提供を自分の仕事にしたい」と思うようになったという。
八住 知人が、学びのツールである「リフレクションカード(*3)」を開発したのをきっかけに、「Reflection Method Laboratory(*4)」(RML)を立ち上げ、そこに参画しました。それが、私にとっての最初の「なりわいとしての“場”」です。さらに遡ると、ヴィレッジヴァンガード時代の先輩と始めた「全日本POPとそれにまつわる諸々のこと連盟(*5)」(全P連)というユニットも。
ヴィレッジヴァンガードの店内に入ったことのある人ならご存じだと思いますが、店舗の特徴のひとつは、“POPの面白さ”です。そこで私は、商品のPOPづくりや販売促進の発想や活用方法を世の中に伝えようと思いました。現在も、RMLと全P連の2つの活動は、「ピラミッド計画」のプロジェクトの一環になっています。
*3 リフレクションカードは、企業研修から大学の授業まで幅広く使われている。詳しくはこちら。
*4 Reflection Method Laboratoryは、リフレクション(振り返り)を通し、一人ひとりが自己や社会の様々な事象に気づき、より良い未来をつくれる社会を目指す集団(ホームページより)。
*5 全日本POPとそれにまつわる諸々のこと連盟(略して全P連)は、「モノやコト」を「売り買い」するという行為をPOPや売り場編集を中心とした販売促進の手法でデザインし、面白くすることを目論んで目下研究をしているユニット(ホームページより)。
八住敦之 Atsushi YASUMI
ピラミッド計画 代表
研修講師、認定ワークショップデザイナーマスター、イベンター。
株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション、株式会社ローソンHMVエンタテインメント、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社等のエンタメ系企業で企画、製造から販売まで小売に関して幅広く従事。顧客に提供してきたものは人生の記憶に残る体験の「場」と捉える。その経験が仕事や学びの場にもつながる可能性を感じ、研究・実践を経て独立。現在は企業研修登壇、ワークショップ企画運営など広くユニークな場を提供。合わせて販促やリフレクションなど各種プロジェクトへの参画などパラレルに活躍する。