信者を拉致監禁、国連の問題視もスルー
「何?旧統一教会は高額献金や霊感商法だけではなく、拉致監禁までしていたのか!こんな危険なカルトはさっさとつぶして日本から追い出せ!」と早とちりしてしまう人も多いだろうが、まったく逆で、旧統一教会の信者が拉致監禁の「被害」にあったという話だ。
旧統一教会から脱会させたいという家族が、キリスト教関係者や被害者救済を掲げる弁護士などからアドバイスを受けて信者を拉致して、マンションの一室などに閉じ込めて「もうあんな宗教やめます」と宣言をするまで監禁するというものだ。「被害者」は43年間で4300人と言われる。中には、12年5カ月もの間、監禁された後藤徹さんという人もいれば、監禁中に改宗を迫られて絶望のあまり自殺をしてしまう人までいた。
そんな拉致監禁問題を国連の自由権規約人権委員会というところが問題視し、2014年7月24日、最終報告書を公表して、日本政府に対して以下のように改善を勧告した。以下に引用しよう。
これを受けて、大統領が聖書を手にして宣誓するほど「信仰」を重要視するアメリカも動いた。米国務省が「国際宗教の自由報告書」で拉致問題に言及したのだ。ちなみに、現在も米国大使館のホームページには以下のようなスタンスが表明されている。
冷静に考えれば当然だ。旧統一教会の信者には「人権」がある。しかも、その人たちが信じていることを「異端」「社会秩序を乱す」として、信仰心を捨てるまで拉致監禁で追いつめるというのは、遠藤周作の「沈黙」で描かれた隠れキリシタンへの拷問を彷彿とさせる。
しかし、日本の多くの人が拉致監禁問題を知らないことからもわかるように、日本のマスコミが、国連やアメリカの動きを大きく取り上げることはなかった。「完全無視」をしたメディア企業も多い。
平時は「人権を守れ!」「弱者を救え!」とお祭り騒ぎをする正義のマスコミとジャーナリストの皆さんは、なぜイデオロギー的に相性バツグンに見える国連からの「改善要求」をスルーしたのか。