お盆休み、実家に帰ってお墓参りに行くという読者の方は多いだろう。一方で「もう何年もお墓参りに行っていない」という人も、多いのではないだろうか。お墓に対する意識調査を見ると、日本人の「お墓参り離れ」が進んでいることがうかがえる。一方、最近はスマホ一つで故人がしのべるような手軽な選択肢も登場している。そのうちの一つ「クラウ墓」を4カ月使って、「カジュアル墓参り」の可能性を探ってみた。(ジャーナリスト 古田雄介)
調査結果に見る「日本人のお墓参り離れ」
36%はお墓参りの習慣がなく、29.2%は墓じまい
現在の成人は、100人中36人が墓参りに行く習慣を持たないという。
これは調査会社のプラネットが7月に発表した「お墓参りに関する意識調査」に載っていた数字だ。今年5月末~6月初頭に20歳以上の男女4000人を対象にアンケートを行ったという。他の調査でも、似たような数字が出ている。
調査結果を詳しく見ていこう。墓参りの対象としている墓は一族や故人単位で石碑を建てる「一般墓」が73.7%と圧倒的で、近年主流になっている「樹木葬」(1.9%)や「屋内納骨堂」(8.1%)を大きく引き離している。また、今あるお墓を整理する墓じまいについての質問では、「墓じまいを考えている」と「すでに墓じまいを実行した」の合計が29.2%あり、10基中3基が存続の危機にあることも分かる。
この調査結果は、日本人の墓参り離れを示唆しているように読める。
筆者自身に目を向けてみると、父親の遺骨が眠る地元の屋内納骨堂には3年近く足を運んでいない。しばらく長距離の移動を控えていたのもあるが、コロナ禍が明けた後も「墓参りせねば」という焦燥感が湧いてこないでいる。屋内納骨堂は雑草や雨だれで劣化することはないし、筆者の実家は寺との付き合いが薄くて法事などの定期的な行事もしていない。放置しておいても目に見える形で不義理が積み重なっていかないのだ。
それでも父親を思い出したくないわけではないし、お墓について一生ノータッチで過ごそうとも思っていない。うっすらとは供養や追悼をしたい欲求はある。問題は、このうっすらとした欲求だけでは墓参りを実施するモチベーションには至らないことだ。だから、ついつい足が遠のいてしまう。
似たような事情から、上記の調査レポートの現状が腑に落ちた人も少なくないのではないだろうか。
こうした現状と呼応するように、最近はうっすらとした供養欲を対象とするような、手軽なサービスが増えている。いわば「カジュアル墓参り」だ。2023年3月下旬、ちょうどそんなサービスの新製品発表会に呼ばれた。