4カ月で3回アクセス、
年換算で9回のカジュアル墓参りができた
QRコードのシールを貼ったスマホスタンドを脇に置いて仕事して4カ月が経った。初期設定と完成ページの確認を終えた後、父のページにアクセスしたのは4回だった。
シールを貼って1週間後に1回と、父の命日に1回、何の気なしに開いた1回、そろそろ記事を書こうと思った1回。だから、純粋に“墓参り”目的だったのは最後を除く3回といえる。少ない気もするが、1年計算でみれば9回もアクセスしたことになる。3年間墓参りしなかった人間からすれば上々の結果だと思う。
カジュアルな“墓”が身の回りにあることで父のことがしのべた。父がしのべたことで、本当の墓(納骨堂)のことを気にかける頻度も確かに増えた。
この結果が得られた要因として、クラウ墓が使いやすかったのはもちろんのこと、自分自身が「真剣にカジュアルに」取り組んだところが大きい。斜に構えて向き合ったら簡単に無視できてしまうし、本格的な墓前として向き合ったら疲れてしまう。うっすらとした供養欲に過不足ない距離感をつかめることがやはり重要だ。
ちなみに、前掲のお墓参りに関する意識調査では、回答者の自宅にある仏壇についても尋ねている。37.9%の人が仏壇を置いていると答えているが、重要なのは墓参りとの相関性だ。家に仏壇がなくて「墓参りの習慣がない」と答えた人は47.3%と半数近くに上るのに対し、仏壇があって同様に回答した人は17.4%に留まる。
自宅などの身近なところにしのぶ拠点があるということは、やはり供養や追悼行為に良い効果をもたらすのではないかと思う。
この4カ月間で、「カジュアル墓参り」を成立させるために大切だと感じたことが三つある。
(1)サービスに完璧を求めない
現実のお墓と同等の信頼性を求めるのは現実的ではなく、新興のサービスゆえに粗もある。それはそういうものだと思って利用するぐらいがちょうどいい。
(2)故人の関係性と向き合う
初期設定の段で触れたが、自分が向き合える距離感の故人でないと勝手に重荷にしてしまう可能性がある。ペットでも同様の意識で設定したほうがいい。
(3)後片付けの責任を負う
1にも通じるが、追悼ページの最終的な処分を自らが行うところまで見据えて利用すると、サービス側に求めるものを軽くできる。
少子高齢化や多死社会などの問題もあって、今後はますます墓参りに行かない人、行きたくても行かれない人が増えるだろう。そのとき、日常と儀式の間を埋めるカジュアルな中間サービスを利用するほうが、故人との交流が気楽に続けられるかもしれない。