ビッグモーターも岸田総理の息子も……「ボンボン息子」の失態
気づいている方も多いだろうが、「世襲」は日本社会の礎になっているシステムだ。
政治は故・安倍晋三元首相、岸田文雄総理、麻生太郎副総理、河野太郎デジタル大臣など、3代、4代と「家業」として政治をしている一族が主導権を握っている。
経済も同様で、日本を代表する大企業のトヨタ自動車は典型的な世襲企業で、現社長も5代目の豊田大輔氏へ「大政奉還」するまでの中継ぎではないかという報道も少なくない。また、ユニクロの柳井正氏、星野リゾートの星野佳路代表なども「家業」を継いで事業を成長させた。
そもそも日本の全企業の99.7%は中小零細企業が占めており同族経営が多い。特に日本の全企業の8割を占めている「小規模事業者」では65%が世襲をしているという調査も過去にはあった。つまり、「世襲」というのは日本の安定と繁栄をもたらす、なくてはならない「秩序」のようなものなのだ。
しかし、近年この日本の秩序を揺るがすようなことが起きている。そう、2代目、3代目がとんでもないことをやらかして世間の批判を浴びる「世襲不祥事」が続いているのだ。
ちょっと前には、ビッグモーターの前副社長・兼重宏一氏のパワハラLINEや、少しでも命令に背くと左遷やクビにする、という恐怖政治が話題になった。また、その前には岸田文雄首相の長男である首相秘書官が、海外視察で大はしゃぎして観光していたとか、首相官邸で親族を呼んで忘年会をして、しかもその写真が週刊誌に流出してしまったことが批判を呼んだ。さらにその前になると、菅義偉元首相の長男が、総務大臣の政務秘書官に抜てきされた後、監督企業である「東北新社」へと天下りしていて、事もあろうに総務官僚の接待係になっていたという事実がすっぱ抜かれて、菅政権終焉のきっかけにもなっている。
最近の日本で「うわっ、今時こんなひどい話あんのかね」というような不祥事やスキャンダルには、権力者やカリスマ経営者の後を引き継ぐ「ボンボン息子」が絡んでいるパターンが多い。そのため、今回の山田養蜂場の事件を受けて、ネットやSNSでは「次のばか息子はどこから出てくる?」なんて興味本位の声も飛び交っているのだ。