絶好調に見えるPayPayは
5期連続で赤字!

 まず最初にはっきりさせておきますと、PayPayは大幅な赤字です。

 実はサービス開始以来5期連続の赤字で、累積最終損失額は2755億円に上ります。「100億円あげちゃうキャンペーン」で一世を風靡しただけあって、現在の地位を手に入れるまでに相応の出費を重ねているのです。ただ、直近2023年3月期の最終損失は223億円の赤字と、もう少しで黒字化が見えるところまで来ています。

 とはいえPayPayの場合、利用者が増えれば黒字化するとは言い切れないところが経営上の問題です。収支構造として売り上げにあたる営業収益は1255億円ながら、1486億円の営業費用がかかっています。

 PayPayの営業収益は加盟店からの手数料収入ですが、その手数料率は1.60%ないしは1.98%で、これは業界的には非常に低い水準です。単純計算でPayPayの流通額7.9兆円に1.60%をかけると1264億円ですから、ほぼほぼ営業収益の数字に一致します。

 クレジットカードの場合は小売店や飲食店で2.50%~3.75%ぐらいの手数料を取るので、このPayPayの料率は非常に良心的です。PayPayは、実は他のスマホ決済よりも手数料率が低い。これが、加盟店で急速にPayPayが普及した理由でもあります。

 では、1486億円の営業費用の中身は何なのでしょう? 

 基本的にPayPay株式会社の詳細情報は非公開ですが、求人サイトを見ると従業員数は2000人程度であるようです。2000人規模のIT企業の人件費や経費は、ざっくり言えば500億円程度になるものです。もうちょっと多いかもしれませんが、その程度だと仮定してみます。そうなると、残りの1000億円前後はクレジットカード会社に支払う手数料という構造になるでしょう。