来たる解散総選挙で、野党が政権に返り咲くための「二つの方法」岸田政権の支持率はどんどん低下しているが、なぜか解散総選挙をしようという声が自民党内からあがっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

解散総選挙を軽々しく口にする
危機感が薄れた自民党

 岸田政権の支持率はどんどん低下しています。しかしなぜか、解散総選挙をしようという声が自民党内からあがっているようです。つまり野党が弱すぎて、選挙さえすれば自民党が勝つから、政権を奪われる危険がまったくないと予想しているからでしょう。

 しかし、そんなことでいいのでしょうか。私は「必ず解散総選挙で自民党が勝てる」というのは油断にすぎないと思います。国民は野党があまりにひどいので、自民党に政治を任せているだけで、満足しているわけではありません。野党が変われば、いや、自民党に変わって政権を託しうると考える政党が出てくれば、いつでも変化は起こりうるのです。

 私はかつて、細川新党=日本新党の立ち上げを眼前で見てきました(結党宣言を月刊文春に掲載)、また民主党政権の誕生前、自民党の支持率が急激に下がる現象も見てきました。その経験から、今回は野党にいくつか提案をしてみたいと思います。

 第一の提案は、自民党の最大の弱点を突いて、それを争点に総選挙を闘うことを目的に団結すべきだという点です。弱点とは何かといえば、それは世襲制です。

 世襲制で地盤を継ぐから、知名度があり、地盤があれば、看板、カバンもついてきます。しかし、お坊ちゃんお嬢ちゃん育ちの政治家は、弱者の視点を見失いがちであり、それが日本を格差社会にしてしまった原因の大きな理由の一つでもあります。
 
 実は、民主党が自民党から政権を奪取する前、私は民主党にある提案をしたことがあります。親しくしていたPR会社の大物幹部から、総合週刊誌の編集幹部クラスに、「自民党打倒のアイデアをアンケートにして提出してほしい」と頼まれたのです。

 私は以下のような提案をしました。

「自民党の最大の武器は『世襲制』にあります。ほとんどの議員が二世か親戚。個人後援会が分厚く支援し、さらに政治資金には相続税がかからないので、政治資金も潤沢になる。だからこそ、まず世襲制の議員は立候補できなくするのが、政権交代の鍵となるのではないか」

 とはいえ、野党が世襲制廃止法案を出したところで、議会で否決されるのは目に見えています。だから次期総選挙では「民主党は世襲議員を一人も立候補させない」と、自民党との違いをはっきりさせた選挙を戦うべきだ、という提案でした。