正月の思い出といえば、近所からの差し入れのお節を食べたことくらいで、父の手伝いに忙しい母の手作りのお節を食べたという記憶もありません。留守番をしているときに建設会社の人がきて、菓子折りを置いて行くことが何度もありました。帰宅した父が包装を開くと、札束が……。顔色を変えた父親が返却のために出て行った姿を、何度も見ました。だいいち選挙の度に、車の上から土下座する両親など見たくもありません。
「土下座選挙」を見ることなく
政界に出ていく二世、三世たち
それなのに、なぜ世襲議員が増えたのか。答えは簡単です。今の二世、三世は地元で育っていないのです。
父母は土日になると地元に帰り、土下座選挙などという屈辱的行為をしていると思いますが、それを見ることもなく、金持ちの東京の坊ちゃんは私立のいい中学・高校に通って、のうのうと成長し、そのまま国会議員になってしまいます。安倍晋三しかり、麻生太郎然り――。これでは地元のことなどわからず、政治家になっても周囲の金持ちの意見ばかり聞いて、格差社会を深刻にしてしまうのは当然でしょう。
時事通信の調査(2021年10月)では、「父母、義父母、祖父母のいずれかが国会議員、または三親等内の親族に国会議員がいて同一選挙区から出馬した候補」を「世襲」とすると、2021年の衆院選では131人が世襲となり、前回の128人から3人増えて、新人は24人だったといいます。全体に占める世襲候補の割合は、12.5%(前回比1.6ポイント増)。政党別に見ると、自民党が前回比1.2ポイント増の29.5%(99人)。次いで、立憲民主党の10.4%(25人)。公明党、日本維新の会、国民民主党の世襲候補はいずれも1人です。
この調査は、世襲を国会議員かその親族に限定していますが、両親か義父母が同じ地域で首長や県議を務めた場合も考慮すると、もっと数は増えるはずです。
江戸時代の藩の数はだいたい500以上といわれています。取り潰されたり、新たに創られたりしたものがあるので、正確な数字はわかりませんが、藩があれば世襲制の大名・小名がそれだけ存在します。これは、今の衆議院議員数の468人とほぼ変わりません。
失われた20年を取り戻し、かつての豊かな日本に戻るためには、こうした「お殿様政治家」を国会から追放し、国民の生活を第一に考える政治家を選ぶこと、つまり「第二の大政奉還」が必要だと思うのです。