中国の経済政策を動かすのは今やイデオロギーとなった。約50年前に西側に門戸を開いて以降、その傾向は最も強まっており、指導部は混迷する経済に活を入れるための有効な手を打てずにいる。エコノミストや投資家らは、国内総生産(GDP)を押し上げるもっと大胆な取り組みを中国政府に求めている。特に個人消費の喚起策を、必要なら新型コロナウイルス下で米国が導入した現金給付を実施すべきだという。中国が米国に近い消費者主導型の経済への移行を加速させれば、成長が長期的に持続可能となる、とエコノミストらは指摘する。だが最高指導者である習近平国家主席は、欧米流の消費主導による経済成長に対し、哲学的で根深い反対論を抱いている。政府の意思決定をよく知る複数の関係者はそう話す。習氏はそのような成長は浪費が多く、中国を世界有数の産業・技術大国に育てるという自身の目標とは相いれないと考えているという。