「超」複雑な
ガソリン価格とトリガー条項

 ガソリン価格の仕組みは税金と補助金が絡んで複雑であり、政策論として複数の論点をはらんでいる。

 元売り業者が、原油を輸入して精製し、保管・輸送してさらにマージンを乗せた元売り価格に、ガソリン税が乗るが、ガソリン税は本則の税率に加えて暫定的な特例税率が上乗せされている。それぞれが小売価格では1リットル当たり20円台後半の金額だ(現在本則28.7円、特例25.1円)。さらに、石油石炭税(2.8円)が加わって、これにガソリン小売業者のマージンが乗って小売価格が形成され、そこに消費税が掛け算されて追加された金額が、ガソリンスタンドでユーザーが目にするガソリン価格になる仕組みだ。

 さらに、分かりにくく、補助金と並んで議論になっているのが、暫定税率=特例税率を巡る「トリガー条項」を巡る事情だ。暫定税率は、道路整備のために財源が必要だとして1970年代に導入されたものだが、2010年に道路整備は一段落したとしてこれが廃止された。ところが、同時に同額が特例税率として残って一般財源化された。

 ただし、この時にガソリン価格が3カ月連続で160円を超えた場合には特例部分を減税する「トリガー条項」が導入された(発動後、価格が130円を3カ月連続して下回れば税率が元に戻るルールだ)。

 ところが、このトリガー条項が11年の東日本大震災の復興財源の確保を理由に凍結されて現在に至っている。