秋採用で勝つ、中小企業やBtoB企業のメソッド

 内定を持っていない“光る原石”はどうしたら見つけられるのだろう。

谷出 自社の内定者を巻き込む方法があります。すでに内定を承諾している学生に、「就職先に悩んでいる友達がいたら、『相談に乗る』と伝えて」と。そこで、先ほどお話ししたような「キャリア面談」を行っていくのです。「類は友を呼ぶ」と言われるように、内定者の友達は内定者と同程度の能力を持っていることが多く、信用できる可能性が高いです。「秋採用の説明会に参加しなくても、個別に会いますよ」と、内定者から友達に伝えてもらう。内定者も友達の力になりたいと思うはずなので、たいていは協力してくれます。その際に、「会社の説明をするから」ではなく、「キャリアの相談に乗るから」と言うのがポイントです。

 それから、大学のキャリアセンターと連絡をまめにとるのも方法のひとつです。ある企業は、内定辞退者が出ると、まずは親しい大学に「弊社に興味を持ってくれる学生がいれば、紹介してください」と声がけしています。就活相談中の学生を抱えている大学はリクエストに応じてくれます。

 社員のワークエンゲージメントが高く、アピールできる魅力はあるのに、知名度が低く、学生の「気づき」を得られない企業もある。谷出さんが見聞するなかで、人材集めに成功している中小企業・BtoB企業のメソッドはどのようなものか?

谷出 たとえば、若手社員をはじめ、社員の出身校をあたっていく方法があります。「弊社では御校のOB・OGが活躍しているので、ぜひ、御校の卒業生を採用したいのですが……」と学校にダイレクトに打診するのです。大学でも、高校でも、専門学校でも構わないでしょう。

 それと、これは実際に某BtoB企業が行っている、第2新卒を受け入れる手法ですが……すでに他社の内定を持っている4年生を対象にアルバイトの求人を出します。時給を少し高めに設定し、有償での長期インターンシップのようなかたちで、「社会に出る前に、○○という経験をしてみませんか?」と。大企業の内定で就職活動を終え、秋・冬に時間がある4年生に、社会に出る前のウォーミングアップの機会を提供するわけです。そうして、一緒に働いていくなかで、「○○さんはどんなキャリアを考えているの?」「将来は何をしていきたいの?」と、密なコミュニケーションをとり、BtoB企業である自社の魅力を伝えます。学生にとって、学生時代の最後に、企業で働く社会人と接するインパクトは大きく、4月に大企業に入社してから、「あそこでの仕事はおもしろかったなぁ……」と振り返ることで、結果的に、第2新卒としてそのBtoB企業に「里帰り」するケースもあるようです。