「幼さを残した学生が多い」とも言われる24卒生

 そうした学生たちに向き合う企業は、コロナ禍の採用活動において、どのような悩みや課題を抱え、いま、どういう方向性にあるのだろう。

谷出 コロナ禍の最初の頃は、就活生へのオンライン対応をどう行っていこうかという悩みでしたが、悩みの内容がだんだん変わってきました。最近は、オンラインでインターンシップをどう行えばいいのか?という相談が多いです。オンラインでは就業体験がうまくできないので、企業から一方的に情報を伝えるタイプの“セミナー型”が増えました。また、コロナ禍において、FinTechやEdTechといったように、あらゆる業種でDX化が進み、そのための人材確保に多くの企業が腐心しています。「社内には適当な人材がいないので、中途採用したい。中途採用で採れないなら、新卒の学生を……」と、デジタル領域で活躍できる人材を求めている状況です。

 来春に社会に出る24卒生(2024年3月卒業予定者)は、現在、すでに就活を終えた学生と就活を続けている学生がいる。22卒生や23卒生と異なる特徴はあるのだろうか?

谷出 24卒生の一学年先輩の23卒生は、1年生時の12月までは大学に普通に通えました。教員や友達と対面でコミュニケーションがとれ、2年生の春からステイホームになったのです。しかし、24卒生は、入学式がなかったり、1・2年生の間はほとんどがオンライン授業でした。大学に入ってからの友達ができず、高校時代の仲間と繋がり続けた学生も多いです。キャンパスで再会して、「久しぶり!」という挨拶さえなく、リアルなコミュニケーションが他の世代より少なく、ネットの情報を鵜呑みにしてしまい、その分、「正解を求める」傾向が強くなっているようです。

 世代にかかわらず、どんな学生も大学入学時は、就職活動を大学入試の延長のようにとらえ、“正解”があるものと思います。エントリーシートに書く内容にも正解があると考え、「会社選びの正解が知りたい!」と。そして、学内で出会う先輩諸氏から、「いや、正解なんてものはないよ」「自分で決めて行動するしかないよ」と教えられ、正解を求める姿勢を改めていくのですが、24卒生はその機会が乏しかった。そうしたこともあって、「24卒は幼さを残した学生が多い」と、企業の採用担当者は口を揃えて言います。面接時に、「福利厚生は何がありますか?」「研修はどんなものを受けさせてくれますか?」と、「私」を主語にした質問を投げかけたりします。

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