その上、政府は衆参両院の候補者に占める女性の割合を25年までに35%にするとの公約を掲げている(参考資料)。公約実現に向けて女性候補者を育成し、立候補・当選させていけば、「小渕ガールズ」とも呼ぶべき自らの権力基盤となるグループを形成できるかもしれないのだ。

 なにより、選対委員長として成果を出せば、茂木派の後継者として認められて「小渕派」を率いるポテンシャルも秘めている。

 ただもちろん、これらはあくまで仮定の話であり、そう首尾よく事が運ぶとは限らない。岸田首相も、何度も総裁選に挑戦して煮え湯を飲まされるような経験をした後に当選した(第286回)。小渕氏も根気強く挑戦し続ける必要があるだろう。

「ドリル疑惑」の払拭も
避けては通れない

 そして、総裁選と直接的な関係はないが、今後の小渕氏にとっては「国民からのマイナスイメージの回復」も重要な課題となる。

 今回の党役員人事が発表された際、SNSの「X」(旧Twitter)上では「ドリル優子」という言葉が飛び交った。

 14年のスキャンダル発覚時に、東京地検特捜部が小渕氏の後援会事務所などを家宅捜索すると、会計書類を保存したパソコンのハードディスクが電動ドリルで破壊された状態で見つかったという。このことを揶揄(やゆ)した小渕氏の異名だ。

 この「証拠隠滅疑惑」に対する国民の視線はいまだに厳しい。だが、たとえ国民に不人気な政治家であり、長老の寵愛によって要職を与えられたにすぎなくても、小渕氏が大きな可能性を秘めていることに変わりはない。

 繰り返しになるが、汗をかき、泥をかぶって「数の力」を得られれば、日本初の女性首相になれるかもしれないのだ。小渕氏は、自らに課せられた使命の大きさを知り、汚名返上に邁進(まいしん)すべきである。