たとえば、あなたがいま飲んでいるペットボトル。これをつくるのにどれほどの時間がかけられているかわかりますか?

 どれだけの人たちがかかわっているのでしょう。つくるところから、世の中で販売されるところにまでに思いを馳せてみます。

 あるいは、ペットボトルに差し込めるストローつきのキャップがあります。これは発明品で、内部が六角形になっており、完成までに10年かかっているそうです。自分でつくれるかといったら難しいですよね。

「これをつくれば、きっと世の中のためになる」「こういうデザインだったら、みんなが豊かな気持ちになる」。世の中にある人気商品は、こんな「人の想い」を大切にしてつくられています。

 人のことを想い、人の役に立つことを考え尽くす。そして行動する。この心がけが、いい仕事を生みます。いい仕事をしている人のところには、かならず豊かさがめぐってきます。お金は、あなたが世の中や会社に生み出した価値でもあります。「感動」や「ありがとう」の対価です。

 時間と手間をかけると、相手に心が届きます。100万円かけて1日でつくるよりも、10万円かけて1年間こだわってつくるほうが、じつは1000万円くらいの価値を生み出す可能性が高いのです。

「もっとこうしてみたら、お客さまに素晴らしさが伝わるのではないだろうか」「こうすることで、ご依頼以上のものになるのではないだろうか」。

 そんなふうに、お客さまに思いを馳せ、工夫をこらしていると、もともとの依頼内容を超えた素晴らしいものができあがっていきます。

 取り組んでいるプロセスのすべてを見ているわけではなくとも、つくりあげたものを見て、人はその人が真摯に仕事をした姿勢を感じとるのです。

出血大サービス価格では続かない
自分も客も取引先も幸せな値付けを

 たとえば1杯500円のラーメンは、とても安いですよね。ものやサービスが安く売られると、買う人にとっては助かりますが、売る人たちにとってはどうでしょうか。

 物価や材料費が上がっているなか、地域の人たちのためにずっとがんばっているお店は、店主と奥さんの二人で切り盛りしているような個人商店が多いのです。どちらかが病気になったら、続けられなくなってしまいます。

 500円でサービスを提供していることは素晴らしいことです。ただ、それだけおいしいラーメンでコストパフォーマンスもいいのなら、ずっと続けられる仕組みに変えられないものでしょうか。