岡山県倉敷市で2つの結婚式場を経営し、結婚したお二人がずっと幸せでい続けるための方法を綴った書籍『夫婦の理念』を発売した著者が、約3000組の結婚式を見てきた中で、巡り合った結婚式にまつわる「奇跡」についてご紹介します。
バージンロードに関する固定概念
結婚式の準備期間、私たちウエディングプランナーが事前にお二人のことをじっくり聞く、というプロセスには、「夫婦の理念」作り以外にも、実は大きなメリットがあります。
個人のプライベートが尊重される今の時代、個人的なことを根ほり葉ほり聞くことはタブーになってきていますよね。中でも生い立ちについては複雑な場合もあり、聞きにくいところも。
しかし、聞かなかったことによって、一生忘れられないような、感動的なシーンを作るきっかけを失ってしまうことがあるのです。
例えば、結婚式の定番であるバージンロード。通常は新婦さまと新婦のお父さまが一緒に歩きます。
新婦さまのほうから何かリクエストがあればいいのですが、何もなければ「バージンロードは父親と歩くもの」という固定観念のもと、プログラムが組まれます。
しかし中には、ご両親が離婚、再婚され、義理のお父さまに育てられたけれど、いろいろと思うところがあって一緒に歩きたくない、という新婦さまもいらっしゃいます。
でも、それはご本人が話してくれなければわかりません。バージンロードは花嫁と父親が腕を組んで歩くものと決まっている――。実はそう思っている新婦さまは少なくないのです。
しかし本来、バージンロードは生まれてから今日までの軌跡、自分と家族との道です。誰と歩くかに決まりなんてありません。
もし私たちが事情を知っていれば、別のやり方をご提案することもできるのです。
お話を進める中で、ほんの少しでも「違和感」を持ったら、その違和感の訳を掘り下げていきます。そこには何らかの理由が必ず潜んでいる。そこを逃さず、きちんと察知できる力が私たちプランナーには必要なのだと思います。