ドルが7-9月期にまるで意趣返しのように反発した。心もとない経済成長を守りつつインフレを抑え込みたい各国中央銀行にとっては頭の痛い問題だ。ドルは7月中旬以降6%近く上昇し、7-9月期(9月29日まで)の上昇率は、まれにみる高騰のさなかにあった昨年秋以来の大きさを記録した。中でも一部新興国市場の通貨が大きな打撃を受け、対ドルでチリ・ペソは11%、ハンガリー・フォリントは8%近くそれぞれ下落した。ドル高をけん引しているのは米国債利回りの急上昇で、同利回りは9月29日までの週に4.6%を突破し、16年ぶりの高水準となった。米経済は底堅く、米連邦準備制度理事会(FRB)は通常の景気サイクルより長期にわたって借り入れコストを高く維持する可能性が高いとの投資家の確信が強まっている。