「友だち申請」は翌日になってようやく承認された。「張国強」のアイコンが友だち欄で点滅しているのを確認し、待ちわびた肖はすぐに、「もし宜しければ、私をあなた様の愛人にしてください」と書いて送る。
「あなたはどこの出身? 年齢、身長、体重および学歴を送りなさい」
いきなり個人情報を要求してきた。口調もどこか強引で無礼という印象もあるけれど、何せ大金持ちの社長だから。その横柄な態度は却ってある種「成功者の覇気」と受け取って益々興味が沸いてきた。求められた通りに「プロフィール」を送信し、緊張しながらじっと「審査」の結果を待つ。
ほどなくして、返信が舞い込んできた。――「基本条件は問題ないようで、一次審査通過リストに入れた」と。
緊張はちょっとだけ解けた。肖は喜びを込めて「謝々」を送り返した。すると張社長は、「応募者が多すぎて、これからそれぞれの資料を精査して、最も優れている女性を選ぶ。選ばれた女性にはお小遣いとして月10万元(約200万円)支給するので、自由に使いなさい。そのほか私とともに出張したり旅行したりする際の費用はすべてこちらが負担するので、もし普段の接する態度が良ければ、さらに評価し褒美も与えよう。また1年間勤まれば200万元のボーナスもあげる。とりあえず次の審査結果が出るまで連絡を待つこと」とメールしてきて、その日のやり取りが終わった。
200万元のボーナスとは大企業の社長に匹敵するような条件ではないか。これほど手厚い待遇ならばシンデレラのように暮らせるし、ルームメイトの鄭が今の会社で白骨になるくらい働いても手にできないはずだ。
彼女は激しく飛び跳ねる心臓を抑えながら、「選ばれたら、必ず頑張って張国強社長に優しくて従順な愛人になって、余所に振り向かせないように尽くそう。一たび自分の虜にすれば、いずれ正妻として迎えてくれるだろう」と自分なりの正妻への道筋を思い描いた。
写真を要求してきた張社長
再び張社長から連絡があったのは2日後のこと。「スナップショット数枚送ってくれ」と。
写真を求められたということは、きっと自分が書類審査に通ったのだろう。ベストテン入り、あるいはベストファイブ入りしたかもしれないと予測して、肖は携帯アルバムを開いて、「一番美しく見える」写真を二枚選んで送信した。