張社長はすぐ返信してきた。「重慶の女の子はきれいでセクシーだとよく聞くが、ほんとのようだね。これからきみはほかの二人とPKする(勝負する)ことになるけど、自信はあるかい」
「頑張ります」――自分の予想を上回ってベストスリー入りしたのがわかって、彼女は涙が溢れ出るほどに感激した。
続いて張社長はPKのルールについて説明した。
俺の愛人になるということは、こちらの事業をサポートする覚悟が必要。たとえば会社の発展や経営に関する戦略、企画などについて、知恵を絞ってもらうとか。だから学識のある、スマートな女性でなければならない。いざ何か起きた場合、俊敏に対応する能力があるかどうかも審査される。
これについて具体的な審査方法は、つまり私と世間話をすることだ。喋りながら、話し方や態度などから私に適合するかどうかを判断する。
そこで二人は、毎日ネット上で世間話できる時間を相談して決めたが、ある日、張社長は仕事で大連に出張し、ネットがつながらなかったりするため、携帯で連絡したほうが良いと言い出した。ただ、「私は声フェチなところがあって、標準語、とりわけ少し香港台湾訛りのある標準語を、甜美(てんび)な声で優しく話す女の子が好みだ。ただ電話はこちらからするので、勝手にこちらにかけられては困る」と、あらかじめ肖に教えた。
むろん肖は躊躇なく電話番号を教えた。「声が審査される」。四川省出身の彼女にとって、甘い声で香港台湾訛りの標準語を話すのは大変な苦労ではあったが、「夢」に向かって一生懸命に頑張った。
幸い肖の声を聴いた張社長はご満悦のようで「可愛い」とほめてくれた。続いて、「俺の電話番号を絶対に他人に教えないように。勝手に電話されたら仕事に響くので困る」と再三注意してから、この日のやり取りを終わらせた。