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定年退職を意識する年齢になると、気になってくるのが「第二の人生」という言葉だ。これまでは他人事だったため、「定年後は第二の人生になる」と言われても「そんなものか」と軽く考えていた人も、いざ自分自身が定年退職を意識するようになると、そうはいかない。第二の人生がどんな感じなのか、イメージがまったく湧かない。そこで焦り始める……そんな人が多いようだ。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

定年後の「第二の人生」
備え方は人それぞれ

 定年退職を前にして、危機を感じる人もいれば、ようやく解放されるという感じで受け止める人もいる。だが、定年退職を機に、あるいは再雇用の終了を機に、新たな生活を構築しようという前向きの気持ちになったとしても、いったいどんな生活にしたらよいのか、そのイメージが湧かない。そんな戸惑いの声をしばしば耳にする。定年後の具体的展望がもてないことによる不安や戸惑いがあるのだろう。

 中には積極的に第二の人生に踏み出す人もいる。典型的なパターンは、それまでの仕事経験を生かして、再就職先を見つけたり、自ら起業したりするものである。これらは、自分が身に着けてきた知識やスキル、人的ネットワークなどを生かせるという意味でリスクは少ない。

 もっとも、起業には当然リスクが伴う。だが、家族を養うなど生活の糧を得るために働いていた頃と違い、第二の人生では確実にたくさん儲けなくてはならないということもないので、リスクを取ることができるということもあるだろう。これまで控えていた冒険ができる、ほんとうにやりたい仕事に乗り出すことができるといって、ワクワクする人もいる。

 慎重な人の中には、第二の人生を軌道に乗せるには早いうちから助走しておくことが大事だと考えて、50代になる頃から資格取得などの準備を始める人や、定年まで待たずにチャンスがあれば定年後の年齢になっても続けられる仕事に転職する人もいる。

 第二の人生がどうなるかはまだ具体的にイメージできないけれども、とにかく組織に依存する会社人間を脱するようにしないと定年退職後に困惑するだろうと考えて、勤務時間後や休日にカルチャーセンターや大学の社会人クラス等で勉強や趣味の講座に通い始める人もいる。