今何が起きているのか。米国に債券市場が戻ってきたのだ。米長期国債、とりわけ極めて重要な10年債の利回りが最近上昇して金融マスコミの大半は大騒ぎしているが、この利回り上昇の本当に重要な点は、債券市場が機能を取り戻したことだ。この経済的大事件とそれが景気に与えるリスクを軽視しろということではない。しかし、約15年にわたる前例のない低金利と中央銀行がもたらした市場のゆがみのせいで、一部のコメンテーターは「正常な状態」が戻ってきたのを認識できなくなっている。米国債10年物の利回りは今週、一時4.8%を超え、5日午後の時点では4.7%近辺となった。すでに記事で読んだかもしれないが、これは2007年以来の高水準だ。2008年の金融危機を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)は名目短期金利を空前の低水準に引き下げるとともに、米長期国債と住宅ローン担保証券を何兆ドル分も買い入れることにより、長期の利回りを抑制した。