見る目がないと感じたり、価値観が合わないなと感じたり……気持ちの面で引いてしまう人もいるかもしれませんね。
「自分には価値がない」「私なんて」と思っている状態というのは、自分のことを「汚れた長靴」だと思い込んでいるようなもの。
あなたのことを褒めたり好きだと言ってくれる人が現れた時に、ボロボロの長靴を絶賛する人に対して抱くようなネガティブな感情を、相手に対して抱いてしまうのです。
Sさんの場合、「私なんて」という自己否定的な思いがあまりに強すぎたせいで、自分に好意を示してくれる相手にも否定的な思いを抱いてしまっていました。
「こんな私を好きになるなんて、あの人は見る目がない」
「こんな価値のない私を好きになるなんて、あの人はおかしい」
というふうに、相手に対して魅力を感じなくなってしまったのです。
心変わりした自分を
責めなくていいワケ
このようなケースにおいて大切なのは、急に心変わりした自分を責めないこと。
急に心変わりしたのは、あなたのワガママや性格の問題ではないからです。
心変わりしたのには、ちゃんと理由があります。だから、自分を責めてはいけません。
自分に好意を持つ人を「気持ち悪い」と感じてしまうほど、自分に自信がない状態で、さらにそんな自分を責めてしまったら、ますます自分が嫌いになってしまいます。
なぜだか分からないけれど、相手を急に気持ち悪く感じてしまったこと、自分で自分を否定してしまうこと、自分を好きだという相手のことまで嫌悪してしまうこと……。
今はまず、事実だけをそのまま受け止めておきましょう。
それが良いとか悪いとかは考えず、「今はこういう状態なんだ。それでいい」と受け止めることが、自分軸で生きるための大きな一歩です。
精神科クリニックに併設のカウンセリングルームで10年以上、心理カウンセラーとして勤務した後、独立。現在は人間関係、親子問題、機能不全家族専門カウンセラーとしてメールでのカウンセリングを中心に活動。メールでのカウンセリング、対面カウンセリングともにいつも予約がいっぱいで、現在も数か月待ちの超人気カウンセラー。
著書に『あなたはもう、自分のために生きていい』(ダイヤモンド社)などがある。最新刊は『悪いのは、あなたじゃない』(ダイヤモンド社)。X(旧Twitter)@Poche77085714
※本稿は、Poche著『悪いのは、あなたじゃない』(ダイヤモンド社)から抜粋し、再構成したものです。