経済学者ミルトン・フリードマン氏の信奉者が喜んでいる。金融政策の指針として見限られてから30年、マネタリズム(貨幣主義)が再び機能しているようだ。とはいってもマネーサプライ(通貨供給量)――マネタリズムの中核的な変数――が減少していることへの懸念から、手放しで大喜びというわけにはいかない。マネーサプライの減少は米連邦準備制度理事会(FRB)やイングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)のインフレ退治が既に行き過ぎており、この先、景気の悪化が待ち構えていることを示唆している。FRBは1979年からのポール・ボルカー議長時代にはマネーサプライのコントロールを重視していたが、徐々にマネーの価格である金利を再び重視するようになった。1993年、FRBはマネーサプライを操作目標とすることを完全にやめた。当時FRB議長だったアラン・グリーンスパン氏は議会証言で、マネーサプライとインフレの長期的な関係は「崩れたようだ」と述べた。