わかりやすい「被害」があれば「少数派」は無視?
「そんな無茶苦茶な話があるわけがない」と笑うかもしれない。しかし、他の宗教団体でも当たり前のようにやっている「超自然的な話をされて、それを信じた信者がたくさん献金をする」という宗教団体に対して、国家が「解散命令請求」をするのだ。世界的に見てもかなり珍しい「信教の自由の侵害」を我々は目撃している。
こんな「無茶苦茶」がまかり通る国ならば、「ホスト規制」があってもおかしくはない。
旧統一教会の被害者は「人生を狂わされた」というが、旧統一教会があるので人生が救われたという人もいる。マスコミが取材しないだけで、たくさんいる。
ホストも同じだ。これまで述べたようにホストで人生が狂った女性や、幼い子どもはたくさんいる。しかし、ホストで救われた、ホストクラブが生きがいだという女性もたくさんいる。
今の日本社会ではそういう多角的な見方を、マスコミもしないし、政府もしないし、大衆もしない。わかりやすい「被害」が確認されれば、そういう「少数派」の声は無視していいのだ。それを政府が認めたというのが、実は今回の政府の解散命令請求の本当の「意味」だ。
今はバカな妄想だと笑っているだろう。しかし、今から20年前くらいに、「サラ金に払いすぎた利息が返ってくる時代が来る」なんて言ったら「お前はバカか」と笑われだはずだ。では、今はどうなっている……?
「霊感商法」の次に「恋愛商法」がボロカスに叩かれる日も、そう遠くないのではないか。
(ノンフィクションライター 窪田順生)