円安で高まる小売業のASEAN攻略熱、日本国内と異なる「意外な作戦」ASEANでは「日式食」が注目を集めている。日本の小売企業がターゲットにする市場は多い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ASEANを目指す日本の小売企業
背景に人口ボーナスの影響力

 日本の小売企業によるASEAN展開が活発化している。ASEANで最も多くの店舗を運営する小売企業は100円ショップのダイソーだ。同社はタイに101店、フィリピンに94店など、ASEAN主要6ヵ国(シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、インドネシア)で計332店を展開している(2023年7月現在)。この他にも、ユニクロが計299店、無印良品が計62店、ツルハドラッグが計16店、ニトリが計9店など、各業態の代表企業が積極的に店舗網の拡充を進めている。

 日本の小売業がASEAN展開を活発化させている背景には、「人口ボーナス」と呼ばれるASEAN市場への成長期待がある。人口ボーナスとは、生産年齢人口(15歳~64歳)を従属人口(~14歳+65歳~)で割った数値であり、人口ボーナスが2倍以上の国は、働き手が多く経済成長が促進されるASEAN主要6ヵ国の人口ボーナスを見ると、フィリピン(1.8倍)を除く5ヵ国が2倍超だ。一方、日本では三大都市圏でさえ1.4倍に留まる。

 ASEAN経済は、人口ボーナスを背景に躍進している。同域GDPは2028年まで年率6%成長が見込まれている。主要都市に限ってみると、消費力は旺盛だ。シンガポールはすでに東京都並みとなっており、ジャカルタやバンコクも大阪市や名古屋市に比肩するレベルの消費力に発展している。東京の消費感度に近いのは、日本の他都市よりもASEANの中核都市と言える状況だ。

 この状況を鑑みると、日本の小売企業の戦略オプションは、国内の地方都市へのドミナント展開だけでない。ASEAN主要都市を含む、アジアのメトロポリタンネットワークの形成が選択肢の一つとなってくる。