消費者を苦しめる値上げラッシュの影響で、スーパーやコンビニの「プライベートブランド」(PB)が注目されています。大手のPB商品は、「四つの方向」に分かれ進化していますが、その方向とはそれぞれ何でしょうか? そしてどれがこの先、PB商品の金脈となるのか、独自の視点で解説します。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
イオンやセブン&アイのPB商品
「四つの方向」に分化する理由
インフレ基調が鮮明になっている中、小売業界ではプライベートブランド(PB)商品の重要度が増しています。小売大手の業績記事を見ると、各社ともPB商品が増収に寄与したという記事が目立ちます。
「ファミリーマートがプライベートブランド商品の販売を伸ばし日販が最高に」
「プライベートブランドの刷新効果でドン・キホーテが増収増益」
「業務スーパーが国内で製造するプライベートブランドの値上げで収益改善」
といった具合です。
大手スーパーなどが独自に開発するPB商品は、メーカー品と違い広告宣伝費などがかからず、大手メーカーの協力工場などに製造を委託して一定の品質を担保しつつ、原材料の仕入れを工夫することで安さを確保してきました。ところが最近は、これまでと違う方向に進化し始めています。
大手のPBのラインナップをみると、概ねどこのPBも「四つの方向」に分化し始めています。中核のPBブランドを一つ目の存在とすると、二つ目にプレミアム方向、三つ目に環境やサステナビリティに配慮した方向、そして四つ目が低価格方向です。
イオンの場合、「トップバリュ」「トップバリュセレクト」「トップバリュグリーンアイ」「トップバリュベストプライス」がその4方向で、それぞれロゴの色が違い、商品の内容も違っています。
セブン&アイは多少複雑なのですが、それでも中核が「セブンプレミアム」、ワンランク上の商品が「セブンプレミアムゴールド」、環境配慮が「セブンプレミアムフレッシュ」や「セブンプレミアムライフスタイル」、価格訴求が「セブン・ザ・プライス」とやはり4方向に、それぞれサブブランドを配置しています。
日本全体が富裕層と下流層に二極化し、他方で、一般の消費者と環境にコンシャスな消費者にも分かれている中で、時流に合わせるとこの四つの方向に分かれることは読者も納得だと思います。
では、その四つの方向のうちどれがこの先、PB商品の金脈となるのでしょうか?独自の視点で解説してみたいと思います。