ドン・キホーテが注力するのは
ディスカウントより「日式食」

 日本の小売企業は、従来の衣・住関連に加えて、食関連でもASEAN進出を始めている。代表格がドン・キホーテだ。同社は2023年7月現在、シンガポールに16店、タイに10店、マレーシアに5店を展開する。

 ドン・キホーテによるASEAN店舗の屋号は「ドンドンドンキ(DON DON DONKI)」だ。日本でのディスカウント業態とは異なり、生鮮食品の陳列が目を引く。シンガポールの店舗では、売り場の半分以上が食料品であり、スーパーマーケットの佇まいとなっている。生鮮食品や総菜を含め日本製や日本商品といった「日式食」を打ち出す品揃えを展開している。

 日式食はASEAN主要都市でも高額商品だ。前述の消費力向上が日本の食を受け入れる土壌を醸成したことは否定できない。しかし、そうした需要側の向上だけでなく、供給側の経営努力も重要な論点だ。それは、現地における「コールドチェーン」の構築だ。

 日本企業のASEAN進出において、食品の調達は「地場調達」が基本だった。地元小売業との差別化が困難であり、仕入れにおけるバイイングパワーも乏しかった。しかし、最近は冷凍技術が飛躍的に発展し、船舶を使って日本からASEAN各国まで鮮度を維持した輸送が可能となった。単価は空輸の4割程度で、大量の食料品輸送が可能だ。

 ドン・キホーテは、チルド状態における日本からASEAN各国の店舗へのコールドチェーンを構築している。同社はさらに日本の生産者の輸出をサポートする組織も作り、ASEANにおいて日式食を適正価格で販売する体制を整えた。