まずはGoogleのソフトウェア技術をとことんまで見てみたいと思い、リストに挙げました。すると機会があって、当時いた部署からソフトウェアエンジニアリング部門へ異動することができたのです。ほかの「やりたいこと」も合わせると10個ぐらいになり、これをやり切るまでは辞めずにいようと頑張った結果、リストをおおむね達成することができたのです。

「ある程度やり尽くした」と思うと、次は何をしようかと考えるようになります。その結果、Googleではないところで何かをしようと考え、退職することにしました。まだ50代前半で人生の終わりを考えるのには早かったのですが、ビジネスパーソンとしての残り時間はそう長くはない。新しいことを始めて失敗し、失敗から学んでもう一度チャレンジして何かを達成するというサイクルを考えると、私にとっては、このサイクルを回す時間があまり残されていないと感じました。

 そこで退職にあたって再度、やりたいことを整理しました。これが3度目の“ゾン100シチュエーション”です。

3度目の「ゾン100」で
重視した2つのこと

 このときやりたいことに挙げたのは「今までやったことがないことをやろう」ということで、ずっと働いてきた外資系ではなく、今まで働いたことのない日本企業で働こうと考えました。また、どうせなら創業間もないアーリーステージのスタートアップへ行こうと決めました。

 もうひとつは「健康なうちは働き続けたい」ということでした。そのために、できるだけ縛られずに自分の意思で働ける下地を作ろうと考えました。そこでフリーランスでも食べていけるし、会社を作ることもできるといった選択肢が持てるように、スタートアップで働きながら兼業で個人事業主としての仕事をスタートさせました。その後はスタートアップを辞め、専業でフリーランスとして働いた後、起業して今に至っています。

 ゾン100のように、たくさんのやりたいことをリスト化したのは2度目のときだけですが、いずれもやりたいことを自分の中で整理することで、実現に近づけられたのではないかと思います。