最初にお断りしておきたいのが、日本のプロ野球界には公式戦に出場した全選手の名簿はあるが、在籍した全選手の名簿は存在しないため、ここで集計されているのは筆者が独自に調査したものである。

 また、名門・古豪といわれる歴史の古い学校には、途中で分離や合併などさまざまな変遷のある学校も多く、どの学校をもってどの学校の前身とするかの意見が分かれることもある。そのため、見解によって多少の誤差が生じることをご了解いただきたい。なお、学校名・人名の表記は新字体に統一している。

 それではまず、今年の注目校から。

今夏・甲子園で優勝した慶応高
高校からのプロ入りは少ない

 今年夏の甲子園で107年ぶりの優勝を果たした慶応高。これまでのプロ入りは戦前の旧慶応普通部を含めて12人。これとは別に旧慶応商工(のち慶応二高、現在は廃校)から3人がプロ入りしている。

 慶応高は近年までスポーツ推薦がなく、実力で入学するしかなかったため、プロ入りするような選手はあまり出なかった。従って、12人のうち8人は推薦制度が導入されて以降だ。

 しかも、慶応高からは全員慶大に進学できるため、高校からプロ入りする選手はいない。今夏に大活躍して全日本メンバーに選ばれた丸田湊斗選手を含め一人もプロ志望届を提出しておらず、近年プロ入りした8人もすべて慶大経由。今年ソフトバンクから3巡目指名を受けた広瀬隆太選手も慶大に在籍している。

 選抜で山梨県勢として初めて優勝した山梨学院高からも、今年のメンバーは一人もプロ志望届を提出しなかった。OBで山梨学院大の宮崎一樹選手が日本ハムから3巡目で指名されたが、これで13人目。ベスト30はまだ遠い。