プロ野球誕生以来、最も多くの
選手を球界に送り込んだ「10校」の素顔は?

 ここからは、ベストテンの動向を見ていこう。

第10位 大阪桐蔭高(大阪府) 45人+今年2人指名

 第10位は、大阪桐蔭高で 45人+今年2人指名。一昨年に名門早実をかわしてベストテン入りを果たした後も、着実にプロ入りが続いている。今年も前田悠伍(ソフトバンク1巡目)、泉口友汰(巨人4巡目)と2人が指名された。

 早実が高校野球草創期からの名門で、80年以上かけて積み上げてきたのに対し、大阪桐蔭高の創立は1988年。わずか33年でのベストテン入りである。その高校球界での立ち位置はかつてのPL学園高に近く、ただプロ入りが多いだけではなく、中田翔(巨人)、藤浪晋太郎(大リーグ・オリオールズ)、森友哉(オリックス)、藤原恭大(ロッテ)、根尾昂(中日)、松尾汐恩(DeNA)など1巡目指名が多いのが特徴だ。

 来年以降もアマ球界には多くの指名候補がおり、さらに上位に進出するのは時間の問題だろう。

第9位 松山商(愛媛県) 49人

 9位の松山商は、甲子園大会が始まる以前の明治時代からの名門校。プロ草創期に景浦将(阪神)など数々の名選手を送り込んだ。以後も多くの選手が活躍したが、平成以降の全国的な商業高校衰退の波を受け、2001年夏を最後に甲子園には出場していない。プロ入りも、2005年の梅田浩(創価大、巨人8巡目)を最後に指名がなく現役選手はゼロ。来年は大阪桐蔭高との差が2人となり、9位の座が守れるかどうか注目だ。

第8位 大体大浪商高(大阪府) 56人

 8位の大体大浪商高も戦前からの名門だ。しかし、この名前で甲子園に出場したことは1回しかなく、往年のファンには「浪華商」「浪商」として有名。1979年選抜で牛島和彦-香川伸行のバッテリーを擁して準優勝した以降は、あまりプロ入りも出ておらず、昨年享栄高に抜かれて8位となった。この学校も現役選手はいない。

第7位 享栄高(愛知県) 57人+今年2人指名

 享栄高は昨年、大体大浪商高を抜いて7位となった。今年指名された東松快征(オリックス3巡目)と菊田翔友(中日育成2巡目)が入団すれば、さらに順位を上げる。甲子園には2000年春を最後に出場していないが、プロには選手を送り出し続けている。

 同校でまず思いだすのが、2019年に亡くなったプロ通算400勝という大記録を打ち立てた金田正一(国鉄・巨人)だろう。高校は中退しているが、公式戦でも登板しているのでカウントしている。他には初登板でノーヒットノーランを記録した近藤真一(中日)など。現役では2019年にセ・リーグ最多安打174本を放った大島洋平(中日)らがいる。

第6位 熊本工(熊本県) 58人

 熊本工は公立高校としては全国最多、現在まで実業系の高校として続いている学校としても全国一のプロ入り数を誇る。平成以降、高校野球界では公立校と実業系高校の地盤沈下が進んでいる中で、現在まで活躍を続けている数少ない高校だ。

 古くは川上哲治(巨人)に始まり多くの名選手を輩出したが、今世紀に入ってからはプロ入りが少なく、昨年末に広島の山口翔が退団して現役選手はいなくなった。