なぜ上海のプールで?
早すぎる死に「毒殺説」まで流れる事態に
それにしても、まだ68歳での死はさすがに若すぎる。数年前には、国家指導者たちに毎年巨額をかけての健康診断が行われていることを証明する内部資料が暴露されたばかりだ。そのような中でなぜ李が急死したのか、それも通常の居住地ではなく、上海のプールで……と、人々のさまざまな懐疑心を呼び起こし、ネットではまことしやかに「李克強毒殺」手段まで分析されていた。
もし殺害となれば、その容疑は当然今の権力者に向けられることになる。だが、すでにきっぱりと「裸退」した李に今の権力者たちが手をかける必要があるかどうか、そしてなぜそれが今なのか……と考えると、その疑惑もまた度を越したものだと言わざるを得ないだろう。
しかし、日常の健康状態に触れないまま「心臓発作」という死因しか明らかにされなかったこと、また運び込まれたのが上海の心臓疾患治療で著名な病院ではなく、「近いから」という理由で中医(漢方医)病院が選ばれたなどという説もあり、人々の疑心のネタになっている。死亡を伝える正式報道も詳細が一切省かれているため、「殺害」を信じたい人たちの気持ちはしばらく落ち着かないはずだ。