成長期待の高い米国株は昨今、金利上昇の逆風を受けてきたが、市場では潮目の変化を指摘する声もある。そこで、特集『富裕層がこっそり教える 狙い目&穴場 運用術』(全16回)の#15では、「金利」が鍵を握る米株式相場の行方を展望するとともに、相場のプロが特に有望視できそうな「王道」5銘柄、「狙い目」5銘柄を厳選した。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
優良グロース株にチャンス再来!?
「王道&狙い目」米国株10選
「そろそろ優良なグロース(成長)株に、目を向け始めてもよいタイミングではないか」。坪井裕豪・大和証券日米株チーフストラテジストは、足元の米国株投資を巡る戦略についてこう話す。なぜか。鍵を握るのは、「金利」の動向だ。
理由を説明すべく、まず、簡単に過去数年の相場を振り返りたい。
上図の通り、米国株相場はコロナ禍の当初に大幅安となった後、米政府の巨額財政出動やFRB(米連邦準備制度理事会)の大規模な金融緩和で急反発。米主要株価指数は2022年初、史上最高値に上り詰めたものの、直近にかけては伸び悩んでいる。
その理由は、米国の金利上昇によるところが大きい。
高インフレを抑えるべく、FRBが利上げを進める中、米長期金利の利回りは今年10月下旬、約16年ぶりに節目の5%を突破。米景気不安がくすぶる中で金利上昇が続き、投資家のリスク回避志向が高まると、それまで株高をけん引してきたハイテク企業などのグロース株に、強烈な下押し圧力がかかった。
株価は常に、先々のシナリオを織り込みながら動く特性がある。今でこそ、高インフレと米雇用情勢の堅調さは併存するが、これは歴史的に異例のこと。米景気が遠からず悪化に向かうとの懸念が横たわり続けているのだ。
物価高の勢いが和らぎつつあることも踏まえ、坪井氏は「当初の見立てより遅れているものの、FRBは徐々に利下げの方向へ近づいていくだろう」と読む。米長期金利のピークアウトも近いとみており、金利高の局面で打撃を受けた成長株には、再び投資妙味が出てきそうだというわけだ。
何しろ、米国の企業業績は直近でさえない状況が続いていたが、市場では今年後半以降、回復傾向をたどると予想されている(下図参照)。
こうした前提の下、坪井氏が長い目で有望視できそうな「王道」「狙い目」5銘柄ずつを選定したのが次ページ図のリストだ。