資産防衛の要である「節税」。ところが、これまで富裕層が活用してきた「タワマン節税」や「節税保険」「足場・ドローンレンタル」といった節税策が当局の規制などにより次々と封じられてきた。打つ手が限られた富裕層に残された節税策は一体何なのか、規制で封じ込められたこれらの節税策は本当にもう“使えなくなった”のか。特集『富裕層がこっそり教える 狙い目&穴場 運用術』(全16回)の#8では、富裕層節税の最新事情を解説する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
タワマン節税も保険もダメに!?
有効な「最後の一手」とは
いま富裕層にかつてないほどの受難が訪れている。
これまで富裕層の間で「節税策」として人気を博してきた法人の生命保険や足場・ドローンレンタルといったスキームによる節税術など、数多くの手法が規制により淘汰されているからだ。
例えば、生命保険では、過去、保険料の支払時に全額損金として計上することで節税を図るとされたタイプの商品や、いわゆる「名義変更プラン」と呼ばれるタイプの商品などが積極的に販売されており、手軽に利用できる節税策として数多く利用されてきた。
しかし、事態を重くみた当局が対策に乗り出した結果、それぞれ19年、21年の規制によりいずれも網がかけられ、節税としての保険活用は大きな見直しを迫られることとなった。
加えて、2025年からはいわゆる「1億円の壁」の是正を念頭に置いた、所得30億円以上の超富裕層に最低所得税率が適用されるようになるなど、課税強化も進んでいる。富裕層にとって、資産防衛は欠かせないものとなっている。
そうした中、専門家は、富裕層が法人で活用できる有効な対策はいまや「ほぼ一択になった」と指摘する。
果たして、富裕層にはどのような資産防衛術が残されているのか。さらに、これまで有効とされてきた節税手段は、本当にもう“活用できない”のか。
その最新事情をアレース・ファミリーオフィスの江幡吉昭代表に解説してもらった。