足元の円安により、ドル建て投資をためらう富裕層は多い。そこで注目を集めているのが「デュアルカレンシー・デポジット(DCD)」と呼ばれる商品だ。円高になるまでの「時間稼ぎ」で使われるというが、果たしてその正体とは?特集『富裕層がこっそり教える 狙い目&穴場 運用術』(全16回)の#12では、DCDの仕組みと、なぜ円安下で注目されているのかについて解説しよう。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
円安に焦る富裕層の「時間稼ぎ」投資
人気集める「DCD」とは
「ドル建て投資をしたいが、とてもじゃないが今の為替相場では手を出せない」──。止まらない円安に富裕層が悲鳴を上げている。
米国金利の上昇を背景に足元でドル建て債券の利回りが高水準を記録するなど、富裕層にとっても投資のチャンスが訪れている。
ところが、富裕層を悩ませているのが歴史的な円安だ。今年初めに1ドル=130円だった為替相場が足元では150円を突破するなど、円安相場は極まっている。その結果、ドル建て投資へのハードルが上がり、多数の富裕層が資金をドルへ転換することにちゅうちょしているのだ。
そうした富裕層の心理を反映するかのように、今「ある金融商品が人気になっている」とアレース・ファミリーオフィスの江幡吉昭代表は解説する。
それが「デュアルカレンシーデポジット(DCD、二重通貨建て預金)」と呼ばれる商品だ。江幡氏曰く、このDCDが、円高になるまでのある種の“時間稼ぎ”効果があるとして関心を集めているというのだ。
聞きなれない言葉だが、DCDとは一体どんな商品なのか。なぜ、DCDが“時間稼ぎ”の効果を持つのか。
次ページでは、その正体と、DCDがどんな商品性を持つのか、一般の投資家にとっても“使えるもの”なのかについて、解説しよう。