変形性膝関節症を
予防する方法とは

 それでは、変形性膝関節症にならないためには、どのような予防法があるのだろうか。

「月並みですが、正しい食生活、体重コントロール、適度な運動が大切です。40代になってからは10年先、20年先のQOLを意識した、日々の食事と栄養補給を意識しましょう。関節や筋肉に必要なのはタンパク質です。食事だけでは、なかなか十分な量がとれないため、特に吸収のいいコラーゲン・トリペプチドの摂取が重要です。以前は膝が痛くなると軟骨は再生しないと言われていましたが、最近の研究では、軟骨を構成する成分の産生を促進するコラーゲン・トリペプチドの摂取が有効なことが分かってきています。私も膝痛予防のため、5年間服用しています。運動はゴルフ、テニス、水泳、水中歩行、ジムなど、自分に合った運動を習慣にしましょう。楽しくなければ続きませんし、そもそも激しい運動だと軟骨を損傷する恐れもあるので、適度に行うことが重要です」

 足の筋トレといえばスクワットが思い浮かぶが、深く屈むと膝関節に負担がかかるため、無理は禁物だという。

「スクワットは、下手なフォームだとかえって膝を痛める可能性があります。膝に不安がある方は浅めのスクワットの方が安全です。他には、椅子に座って、少しの重りを付けた足を上げ下げする動作もおすすめです。足腰が弱いと、階段を下りるときにドスンと着地してしまい、軟骨に負担がかかってしまいます。軟骨を守るためにも、階段ではソフトランディングを心がけましょう。そのためにも、ある程度の筋力は必要なのです」

 また、長時間のデスクワークなど同じ姿勢を保つことも膝には良くない。

「膝軟骨はスポンジのように収縮し、関節液を吸って栄養をもらいます。つまり、関節を動かさないと軟骨に酸素などの栄養が行かないので、デスクワークなど同じ姿勢でいることは良くないのです。デスク作業の際は、適度に立ったり、座ったまま足を曲げ伸ばしたりするといいでしょうね」

 また、生まれつきのO脚やX脚も膝痛の要因になりやすい。骨格は簡単には変えられないが、そのような人はどのようなことに気をつければ良いのか。

「O脚は膝の内側、X脚は外側の関節が変形しやすくなります。受診された方で、このような脚の特徴がある方には、それぞれに対応した膝装具や足底板を処方します。一方で、普段の歩き方を意識するだけでも膝への負担は変わります。特にO脚の人には私はインライン歩行をおすすめしています。これは、両足の内側と、かかとからつま先までのラインを意識して、体重を移動するという競歩のような歩き方です。こうすると膝や背筋が伸び、膝への負荷が少なくなります。もちろんO脚ではない方がされても、効果的です。一方、左右によろよろしながら足の外側に負荷をかける歩き方は、膝も背筋も曲がって、変形性膝関節症の要因になったり、悪化させたりします。これは特に高齢者に多い歩き方ですが、膝が曲がっていると腰もだんだん曲がってくるんです。足の内側を意識する歩行だけでも予防になります」

 他にもおへそをへこませ、横隔膜を引き上げることでも姿勢が良くなり、膝に良い歩行になるそう。

 膝痛のリスクをできるだけ抑え、健脚を保っていこう。

■監修/関町病院・丸山公院長