成熟企業でイントレプレナーを育むためのポイント
では、既存事業に従事し、その思考・行動、組織文化に適応してきた社員を「イントレプレナー」へと覚醒させていくにはどうすればよいのでしょうか。
1つ目は、「社員のwill(内発的動機)を起点にする」ことです。昨今、働き方改革やコンプライアンスの観点から労働時間管理も厳しくなっており、社員の多くは「無駄なことに時間を使いたくない、失敗して評価を下げたくない」といった考えや、「私に新規事業なんてできるわけがない」といった、方法論やスキル不足からくる不安を抱えています。そんな社員一人ひとりの深層心理に寄り添いながらも、社員のwill(内発的動機)を引き出すメッセージの発信や取り組みを仕掛けていくことがポイントです。
新規事業の創出に向けて、私たち(michinaru)が伴走させていただいている専門商社のI社では、「できることから発想する、ではなく、自分のwill(動機)から事業を創る」をコンセプトに、全社員を対象に、半年間かけて社員の中に眠るイントレプレナーシップを育むための取り組みを行(おこな)っています。また、創業50年を迎えたIT企業のJ社では、新規事業推進室と人事部が連携し、社員一人ひとりの「スキ・トクイ・ダイジ」を起点にした事業創造の取り組みを進めています。自身の「スキ・トクイ・ダイジ」なことを改めて言語化することで、“やらされ感”ではなく、“やってみたいというwill”が醸成されていくのです。
このように、「willをどこまで引き出せるか」で、その後の事業創造の取り組みの成否は大きく変わっていきます。経営人事は、社員の不安に寄り添いながらも、一人ひとりのwillを引き出すことが大切です。