ウクライナや中東で世界のシステムへの暴力的な挑戦が展開される中で、国際秩序の経済的支柱が損なわれつつあることに目をつぶるのはたやすい。ジョー・バイデン大統領の下で米国の経済政策は保護主義と環境重視の行動主義という有害な組み合わせに変化しつつある。これは経済成長の鈍化と国際摩擦を確実に引き起こす組み合わせだ。これは重要なことだ。今から75年前の1948年、第2次世界大戦後の米国の外交政策は失敗していた。ソ連は欧州の民主主義政権を打倒。毛沢東は北京へ進軍。中東では独立したばかりのイスラエルと近隣諸国の戦闘で大規模な人道危機が生じ、戦争拡大の恐れが出ていた。世界秩序が不安定に動揺する中、当時のハリー・トルーマン米大統領とジョージ・マーシャル米国務長官は三つの大きな真実を理解していた。一つ目は、核の時代における平和は、米国とその同盟諸国に世界秩序を覆そうとする敵対勢力を抑止する能力と意志がある場合にのみ、続く可能性があるということだ。二つ目は、少なくとも基本的には、外交政策は超党派の合意に基づくものでなければならないということだ。三つ目は、米国主導の世界秩序が国内と国外の両方で、生活水準の向上をもたらさなければならないということだ。国内に関して言うと、経済が平均的な米国の世帯に恩恵をもたらさなければ、われわれは必要とされる国防予算を下支えできず、2極化を抑えられない。国外に関して言うと、生活水準の向上のみが、われわれの秩序の存続に必要とされる政治的安定と資本主義支持の意識を促す可能性がある。
【オピニオン】バイデン環境政策が世界に強いる犠牲
エネルギー移行はインフレや生活水準の低下を招くことに
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