「人間関係リセット症候群には処方せんがあります」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「人間関係リセット症候群」かもしれない
タツヤさん(仮名)には、連絡を絶ってしまうクセがありました。
最近、「人間関係リセット症候群」という言葉をよく聞くようになりました。ただ、最初に覚えておいてほしいのは、それは正式な病名ではないことです。
ストレスが溜まったり、うつっぽくなると、これまでの交友関係や社会とのつながりを断ってしまう。
そんな「リセットのクセ」がついている状態のことを言います。
どんな人でも、面倒くさい人間関係の1つや2つは思い当たるでしょう。
しかし、タツヤさんは単なる「人間関係の整理」ではなく、人間関係を断つために会社を辞めることをしたり、スマホに入っている連絡先や、SNSのアカウント、その履歴に至るまで、とにかく自分と社会とのつながりをすべて消してしまいます。
タツヤさんには、「なかなか友達ができない」という悩みがあるそうです。
より正確に聞けば、
「他人との関係を長く続けることができないんですよね……」
とのことでした。
なぜか「疎遠」になってしまう
たとえば、彼が中学校を卒業したときの話です。
当時、学校で仲がよかった友人がいたのに、いきなり関係を断ってしまったそうです。
友人らに街でバッタリ会ってしまったときに、「なぜ?」「どうして?」と聞かれたそうですが、
「なんとなく会いたくない感じがして……」
と、うまく説明することができませんでした。
当時を振り返ると、
「一度終わった関係だと思うと、なんとなく会いにくい気持ちが強くなっちゃうんです」
と語ります。
そんな悩みは、社会人になっても続きました。
タツヤさんは、会社の中で部署異動を経験したとき、前の部署の人たちと連絡をとることがしにくくなったと言います。
部署は変わっても同じ会社ですから、エレベーターなどでまた顔を合わせます。
すると、自分からは話しかけられず、相手から話しかけられても、長引かせないようにしてしまいます。
そのうち、元同僚も気まずさを感じて、離れていくようになりました。
その一方で、家族に対してはこのような感情は持つことはないそうです。
友人や、会社の同僚、恋人に対しては、何かのキッカケで自分から疎遠になってしまうのです。
なかなか人間関係が積み上がらない自分に、不安を抱えているようでした。
一体どうすればいいのでしょうか?