私が提案したいのは、ほんの5分、10分といった隙間時間こそ、マインドフルネスにあて、休息をとることです。5分間勉強する代わりに、歩いたり、呼吸瞑想をしたりして、自分と向き合ってみる。こうして自分の時間を自分の心のために使うことこそが、現代に生きる私たちにとっての贅沢であり、休息ではないでしょうか。

習慣にすることで慢性的な脳の疲れが取れてくる

 ただし、自分のために時間を使うといっても、スマホゲームなどは当てはまりません。ゲームやギャンブルなど、エンターテイメント性や中毒性が高い行為は、「意図的に注意を向けている」のではなく、「注意を奪われている」状態だからです。また、「ボーッと時間を過ごしてはいけない」という恐怖感を埋めるために自分に刺激を与え続けているので、かえって疲れをためることになってしまうのです。

 1日に5分、10分でも、歩くことを習慣にすると、あるとき、「あ、自分は変わったな」という瞬間が訪れます。脳の疲れがとれて、スッキリするという効果はもちろんのことですが、脳が疲れたときには感じられなかった、「優雅な時間」が戻ってくるかもしれません。例えば、近所に新しいお店ができたことに気がついたり、元気な学生たちのおしゃべりを微笑ましく思ったり。以前には感じられなかった喜びや気づきが、「あ、自分は変わった」という手応えになります。

 毎日を忙しく過ごしているビジネスパーソンも、主婦の皆さんも、若い学生さんたちも、定年後の方々も、程度の差こそあれ、皆がマインドワンダリングの状態にあります。

 だからこそ、私はあらゆる人に、禅とマインドフルネスを知ってもらいたい。それは、現代に生きるすべての人たちに役立つものだと確信しているからです。