ポジティブとネガティブ
人が興味を持つのはどちらか?

 ターゲットがどんなトピックに関心を持つかということと同じぐらい重要なのが、人はネガティブな情報に興味を持ちやすいということ。美味しい店を教えてあげるとか、その人が好きなものをプレゼントするということよりも、知らないと損する情報を提供する方がより効果を発揮しやすくなります。

 ポジティブな情報では相手の真意を引き出しづらい。ある業界の人に「〇〇業界は最近なんかまた盛り返してきたね」という情報は「そうなんですね」と返されて終わり。切迫感がないから相手が本音になりませんし、食いついてくることもありません。

 理想を言えば、ターゲットの人が抱えてる不安とか悩みとか、課題がわかるといいです。その答えを持っていったら、食いつきが一番いい。「相手がまだ知らなくて、かつ知らないと損する情報」と言い換えてもいいかもしれません。場合によっては一緒に共感するとか、不安や怒りに寄り添えたら、より良いと思います。
  
 これは別の事例をあげて説明しましょう。あるパチンコ狂を追っていたとき、そのターゲットは打ち終わるとそのパチンコ店の隣にある居酒屋に行くのが日課でした。どうも負け続けてるから、しばらく生活の様子を見ていたら全然お金がない様子だった。

 方法は2つ思いつきます。1つはターゲットの横に行って「今日も出ませんね」と話しかけるパターン。2つ目は居酒屋でターゲットがいつも座る席の近くに先に座って置いて「最近よく会いますね」と話しかけるパターン。徐々に距離を詰めていったところで、不安に寄り添ったり、課題を解決したりするアプローチをすることで彼から情報を引き出す突破口ができるかもしれません。ここまで辿り着いても、一切口を割らないターゲットもいます。公安の仕事は本当に地味で辛いものです。

 ターゲットの行動パターンは重要な情報です。行動パターンをずっと見ていく中で、この人の趣味や弱みを見つけていきます。

 週末高尾山に行くのか、ゴルフをやるのか、風俗に行くのか、とにかく趣味嗜好を一つひとつ見ます。ビジネスパーソンは公安と違って集団で監視することまではできないけども、SNSや関係者の話、社内の噂などから可能な限り情報を集めることはできます。
 
 趣味がゴルフってわかったら、あまりゴルフをやらなくてもゴルフに誘う。趣味が将棋と会話の中でわかったら、「今度教えてください」と言う。難しくないはずです。