2008、2009年に米国の市場が不調になったときは、スタートアップと人材に新陳代謝が起こり、エコシステム全体が筋肉質になりました。今のユニコーンの種が多く撒かれたのもこの時期でした。

まとめると、2022年は、市況の上向きが続いても、下向きに転換したとしても、スタートアップにとって大きなチャンスの年、そしてエコシステムにとって勝負の年であることは間違いない、ということです。

個人的な注目領域としてまだ変革の余地が大きいと思うのはFinTechの各領域。これはC向けB向け、金融商品も決済・預金・保険・投資など、多岐に渡り見ていきたいと考えています。

そのほかデライト・ベンチャーズとしては、情報の非対称性を解消するビジネス、生産性の劇的な改善に取り組むビジネス、サステナビリティに直接影響を及ぼすビジネスに注力して投資していきます。

また事業領域に関わらず、日本から海外市場を狙っているスタートアップが、海外投資家との接触を早めに行うのに適した市況にあると思います。欧米VC間の競争が激しくなっており、彼らの多くは、自らの得意ステージより一段アーリーのラウンドからディールフローを探そうとしているからです。デライト・ベンチャーズは、日本から早い段階でグローバル市場に挑戦する起業家やスタートアップに注目して、積極的に応援したいと考えています。

W ventures代表パートナー 新 和博

2021年のスタートアップシーン・投資環境について

C(コンシューマー)向けサービスが当たった時の爆発力を再確認できた1年でした。2021年の年明け早々から始まった音声SNS・Clubhouseや写真SNS・DISPOの旋風、DeNAが買収したIRIAMやグリーが手掛けるREALITYなどの躍進は目を見張るものがあり、ここ何年もかけてB(ビジネス・法人)向けにシフトしてきた投資家の注目が再びC向けに戻って来た印象があります。

また、それに追い打ちをかけるように2021年後半からはNFTというトレンドが国内でも騒がれるようになりました。W venturesの投資先で、IPホルダー向けにNFTサービスを手掛けるAniqueにも問い合わせが急増しました。

2022年の投資環境の変化や注目領域・プロダクトについて

投資環境

スタートアップにとっては引き続き良い調達環境が続くと思われます。上場マーケットの浮き沈みの影響は一定受けるはずですが、スタートアップの資金調達環境の先行指標となるVCファンドの組成金額が高い水準で推移しています。つまり、数年以内に組み入れしなければならないお金がVCファンド側に積み上がっているため、スタートアップ全体としては調達しやすい環境であることは間違いないでしょう。