ただ、個社ごとに見た時には必ずしもそうとは言えず、むしろシード・アーリーステージのスタートアップにとっては厳しい環境になるかも知れません。実績がある既存VCが新しいファンドを組成する度にファンドサイズを大きくしていますが、1社あたりの投資金額は増えても投資社数が正比例的に増える訳ではありません。

既存ファンドの投資対象となるステージがどんどん後ろに移行していくので、シード・アーリーステージを中心に投資するプレーヤーはいつまで経っても増えないという状況が続くと予想されます。早いステージの起業家には、周囲の大型調達のニュースに浮かれることなく、粛々とプロダクトの磨き込みに集中することが求められます。

注目領域

IPを生み出す仕組み:現状のNFTはまだまだカオスな状態ですが、大手IPホルダーと巨額の投資資金、優秀な人材が流れ込んで来ているので、さまざまな課題が解決されて一気に普及していくと考えています。また、当然ですがIPの価値がますます重要になりますので、既存のIPの囲い込みが激化する一方で、新たなIPを生み出す仕組みも重要になってくるでしょう。特にスタートアップとして参入しやすい後者に注目していきたいと思います。

特化型FinTech:大手プレーヤーの激しい競争の結果、キャッシュレス決済のインフラや習慣がかなり浸透してきました。今後は、徐々に用途や領域を限定した特化型のFinTechサービスの登場に期待しています。

2022年に注目すべき投資先

Hotspring:国内及び海外旅行向けOTA「こころから」を運営。コロナが明けた後の旅行需要回復に向けて粛々と準備をしており、2022年の爆発的な成長に期待しています。

YOUTRUST:キャリアSNS「YOUTRUST」を運営。2021年の1年間でMAU、有料顧客数ともに大幅に増加しており、IT・スタートアップ業界に急速に浸透してきました。ただ、流動性の低い日本型キャリアにおいてゲームチェンジするためには伝統的大企業へのYOUTRUSTの普及が必須であり、モメンタムのあるこのタイミングに一気にその壁を突破できるかが鍵になると考えています。

RABO:猫様向けIoTデバイス「Catlog」及び「Catlog Board」を提供。とにかく採用力が凄い。新しい市場を作り出す生みの苦しみはありますが、これだけのメンバーが揃えば何とかしてくれるでしょう。また、また、虎視眈々とグローバル展開も狙っていますので、2022年の飛躍を大いに期待しています。