同社が展開するのは最短30分で近隣のスーパーから生鮮食品から日用品まで配達するグロサリーデリバリーサービス「クラシルデリバリー」だ。クラシルデリバリーは生鮮食品や日用品など、普段スーパーで購入する商品をオンデマンドで配達するサービス。

delyのプレスリリースより
delyのプレスリリースより

ウェブやクラシルデリバリーのアプリで欲しい商品を注文すると、配達員が指定されたスーパーで商品のピッキングを行い、最短30分で指定された配達先まで届けてくれる。料金は商品代金とは別に送料(税込330円)、サービス料(税込198円)がかかる。

2021年12月のサービス開始時点での対応エリアは、東京都港区・渋谷区・中央区の一部となっており、利用可能な店舗はピーコックストア(代官山店・恵比寿南店・芝浦アイランド店・三田伊皿子店・トルナーレ日本橋浜町店)のみだった。約2カ月が経ち、delyは新たにイオンリテールと提携することを2月1日に発表した。まずはイオンスタイル品川シーサイド店での利用が可能となる。

具体的な企業名は明かされなかったが、イオンリテール以外の小売企業とも話を進めており、今後首都圏を中心に利用できる店舗数を拡大していき、近い将来には地方にもエリアを拡大していく予定だという。

delyは今でこそ“レシピ動画の会社”として知られているが、もともとはフードデリバリーサービス(2015年1月末でサービス終了)を提供していたスタートアップだ。クラシルデリバリーの提供は同社にとって、約7年ぶりにデリバリー市場に戻ってきたことになる。

なぜ、delyはグロサリーデリバリーサービスを再び提供することに決めたのか。代表取締役の堀江裕介氏、執行役員の大竹雅登氏にクラシルデリバリーにかける思いを聞いた。

「儲けないようにした」ことが最良の意思決定だった

──まず、クラシルデリバリーを立ち上げた経緯について教えてください。

堀江:世界的に見て、日本のEC化率は低い水準にあります。その課題に対して、何かしらのアプローチを考えるべく、2年前の2021年9月にCTOを井上(崇嗣氏)に引き継ぎ、大竹にはコマース事業本部の事業責任者として、新規事業の立ち上げに注力してもらっていました。当時、あらゆる切り口からサービスを開発したのですが、どのアプローチが正しいかも分からなかったこともあり、ほとんど、うまくいきませんでした。

そこで、まずは小売業界の現場が抱える課題をきちんと把握しようと思い、立ち上げたのがネットスーパーの立ち上げをサポートする「クラシルリテールプラットフォーム」です。