また、豊富なラインアップも特徴のひとつです。クラシルデリバリーは、スーパーマーケットの店頭と遜色のない1万超のSKU(Stock Keeping Unit:在庫管理上の最小の品目数を数える単位)を実現しています。一般的なフードデリバリーサービスのSKUは1000以下のものが多いのですが、商品の写真撮影をdelyが無料で行うことで品揃えが豊富になっています。

私たちが商品在庫の管理ツールを含んだすべてのシステムを開発するため、小売業者にとっては初期費用がかからないのも魅力のひとつです。ネットスーパーやグロサリーデリバリーを立ち上げるとなると膨大な費用がかかりますが、我々のサービスではシステム開発や運用、配送などの費用もかからず、収益に応じた手数料を支払うだけという仕組みになっています。

基本的には商品データを共有していただければ、私たちがシステム開発、写真撮影、物流まで一気通貫で行うので、立ち上げるのに労力的なコストは必要ありません。今だと、約3週間ほどの時間をもらえれば、システムを開発をすることができます。

また、システムに関しては商品欠品時の対応については工夫しました。クラシルデリバリーは店頭の在庫を取り扱っているので、買おうと思っていた商品が欠品してしまうケースもあるわけです。そのときに代替品を提案するアルゴリズムにすごく力を入れてロジックを構築しました。店頭とかなり近い感覚で、オンラインで買い物できると思います。

──写真撮影に関しては、クラシルでのアセットが生きている。

大竹:そうですね。小売企業がネットスーパーを立ち上げるにあたって、最も大変な作業が「撮影」です。クラシルリテールプラットフォームを通じて、「写真が撮れない」「写真を撮ってもクオリティが担保できない」といった現場の声をたくさん聞いてきました。

ただ、私たちにはクラシルで培った撮影のノウハウがある。だからこそ、この機能を無料で提供することで、小売企業が抱えるボトルネックを解消していくことにしました。

 

堀江:クラシルデリバリーの面白いポイントは、すでにネットスーパーを提供している小売店とも組めることです。ネットスーパーは基本的に翌日のお届けになってしまうため、ユーザーの「今すぐ欲しい」というニーズをくみとれていません。とはいえ、自前でグロサリーサービスを立ち上げるにはコストもないし、ノウハウもない。

そういったときにクラシルデリバリーと組めば、商品の即時配送にも対応することができます。そのため、小売企業と話しても基本的に「やりたくない」みたいな話にはならず、多くの企業から興味を持っていただいています。