顧客のニーズに合わせて専門性の高い人材セグメントを開拓

キャスターではCASTER BIZをはじめとした、リモートワーク中心の人材サービスを提供している。日常業務から採用や人事労務、経理、営業などの専門職まで、さまざまな業務に対応するリモートワーカーを1000人以上抱え、企業が必要なときに必要な人材をアウトソーシングする。現在展開するのは10の事業に及ぶ。

キャスターは一般的な事務アシスタントだけでなく、採用、労務、経理など、各分野のプロも抱えている。専門性の高い分野を手がけるようになったのは「クライアントからの提案によるもの」と中川氏は語る。

「サービスのリリース当初は需要のある領域やリモートでも受けられる仕事の範囲が分からなかったので、オールマイティーに対応できるオンラインアシスタントからスタートしました。その後、採用、労務、経理などの専門分野で案件が入るようになり、別のサービスとしてスピンアウトしています。『クライアントが欲しいなら足りない領域なのではないか』というところから始め、その領域に詳しい人を入れ、オペレーションを構築し直してサービスとしてのかたちをつくるというのを繰り返した結果です」(中川氏)

秘書・人事・経理・ウェブサイト運用など、日常雑務から専門分野まで幅広い業務を担い、キャスターの看板サービスともなっているCASTER BIZを入口として、プラスアルファで別の専門職サービスを取り入れたり、より専門性の高いサービスに切り替えたりする顧客も多い。このため、クロスセル、アップセルにもつながっているという。

サービスの肝とも言えるリモートワーク人材の募集については、事業スタート当初から順調だったようだ。

「最初から1求人で数百人が集まる状態。セグメントが増えたこともあり、最終的には地方から採用を進めています。というのも、ホワイトカラーの賃金が低い地方では、東京の案件を紹介したり、東京の水準に合わせて賃金を引き上げたりすると、給与が周りの1.5倍ぐらいになるのです。このため、家庭に入った女性にリモートワークが選択されているというより、地域を移動せずに賃金が上がることに魅力を感じる人が多いようです」(中川氏)

多いときには単月で2000人を超える採用応募が集まるというキャスター。合格者が100人に1人という狭き門となり、優秀な人材が集まる状況だが、「多くの応募があって採用できないというのが実態」と中川氏は言い、「会社としては『仕事をしたい』と言っている人に仕事を供給できていない状況は残念」と悔やむ。