2020年に発売した『Dreams Universe』は、2010年に買収したMedia Molecule(代表作『リトルビッグプラネット』)が担当。同じく2020年に発売した大ヒットソフト『Ghost of Tsushima』も、2011年に買収したSucker Punch Productions(代表作『inFAMOUS』シリーズ)が制作したものだ。

加えて2021年には、中小規模ではあるが6月にHousemarque、7月にNixxes Software、9月にFiresprite、10月にBluepoint Games、12月にもValkyrie Entertainmentと、わずか半年の間に5社もの買収を発表している。

このようにMicrosftとSIEの両社がソフトウェアメーカーをM&Aする傾向は以前から見られた。Activision Blizzardはソフトウェアメーカーとしての規模がずば抜けて大きかったことで、騒ぎになっただけに過ぎない。

日本でも珍しくないソフトウェアメーカー同士の合併

そもそもゲーム業界においては合併やM&A、子会社化という動きは珍しいものではない。Activision Blizzardも、もともとはActivisionとBlizzard(正確には、Blizzardの親会社であるVivendi)という2つのゲームメーカー同士が合併して生まれた。

日本国内でもスクウェア・エニックス・ホールディングスやバンダイナムコホールディングス、コーエーテクモゲームスホールディングス、セガサミーホールディングス、スパイク・チュンソフトといった前例がある。そのほか連結子会社化では、コナミホールディングスはファミコン時代に名を轟かせたハドソンを、スクウェア・エニックスHDは『スペースインベーダー』で一斉を風靡したタイトーを子会社化。『真・女神転生』や『ペルソナ』シリーズのほか、『プリント倶楽部』で知られるアトラスも、現在はセガの子会社だ。

ソフトウェアメーカー同士の合併は、管理部門や営業部門などを統一化できるほか、自社のソフト同士で発売日が重ならないように調整できるという利点もあるため合理的だ。だが今回のM&Aが大きく報道されている背景には、買収したMicrosoftがXboxというハードウェアメーカー、つまりプラットフォーマーだったことが大きい。

日本の環境に例えるならば、PS5を発売しているSIEがスクウェア・エニックスとカプコンを買収したようなものだと考えればいい。『ドラクエ』『FF』『モンハン』『バイオハザード』の新作が今後PS5独占となったら、SIEの株価はもちろん、ハードウェアの勢力図も大きく影響を受けるだろう。