こうした思惑で投資家が動き、スクウェア・エニックスの株価は1月14日の5340円から2月7日には6040円へ。カプコンの株価も1月14日の2442円から2月7日には2891円へと、両社ともに値上がりしていたのは興味深い。

「ハードウェアメーカーによるソフトウェアメーカー買収」に競合が警戒する理由

話をActivision Blizzardに戻そう。SIE広報が「Microsoftが契約上の合意を守り、アクティビジョンのゲームをマルチプラットフォームにすることを引き続き保証してくれると期待している」とコメントしたことは、Wall Street Journalで大きく取り上げられた。コメントから推察するに、おそらくSIEとActivision Blizzardの間には、『Call of Duty』シリーズの少なくとも次回作をPlayStationでも発売するという契約が残っているとも推測できる。

Microsoftは以前に子会社化したBethesda Softworksのタイトルを一部、Xbox/Windowsで独占販売したことがあるため、SIEが警戒するのも当然だ。MicrosoftのXbox責任者フィル・スペンサー氏も「今週はソニーの首脳陣と良い話ができた。私はActivision Blizzardの買収に際し、既存のすべての契約を尊重し、『Call of Duty』をPlayStationで販売し続けたいという希望を確認しました。ソニーは我々の業界にとって重要な存在であり、この関係を大切にしたいと考えています」とツイートした。

『Call of Duty』シリーズは、PS4/5版の販売でも大きな利益を上げている。PlayStationプラットフォームでの販売を停止すれば、Activision Blizzardの収益にも大きな影響を与えかねない。そう考えると、当面はこれまで通りのプラットフォームで発売されると見て間違いないだろう。

いずれにせよ、今回の買収が完了すれば、Microsoftのゲームメーカーとしての売り上げは大きく飛躍する。中国のテンセントやSIEに続く巨大なゲーム企業になるだろう。

ゲーム専用機が存在意義を失う、Xデーまでに

2021年末に、筆者は以下のような記事を掲載した。

記事の内容を要約すると、最新のゲーム機であるPS5やXbox Series S|Xは大量生産によりコストダウンしたゲーミングPCの廉価版のような仕様になりつつある。それに加えて現在はクラウドゲーミング技術も進化しているため、スマートフォンやタブレット端末でもゲームが楽しめるようになり、ゲーム専用機の存在意義が薄れつつあるという内容だ。