4位:成果を評価されない

チームや社内で成果をあげても評価されない場合、従業員は転職を考える。記録的な売り手市場も、転職への動きを後押ししている。

5位:COVID-19への対応

ここ数年続くパンデミックへの対応が5位になっている。TwitterやMicrosoftは、永久的なリモートワークを発表したが、GoogleやMeta(旧Facebook)は、安全な環境に戻り次第、オフィスへの出社を求める方針だ。従業員が自らの健康を最優先されていないと感じたことがきっかけで、離職に至るケースも多い。

実際、GlassdoorやBlindといったレビューサイトでも、オフィス出社を求める企業への不信感を訴えるコメントが数多く見られた。

離職を防ぐため、企業がとるべき行動

本レポートの後半部分では、こういった環境の中で、企業がどのように従業員の離職を防ぐべきかが記されている。

出典:MIT Sloan Business Review
出典:MIT Sloan Business Review

上記の表は、賃金や報酬が離職を防ぐ影響を1とし、従業員を維持するための主要予測因子の影響を数字で表している。1位は、社内での新しいキャリアパスの提供だ。本レポートによると、すべての従業員が昇進を希望しているわけではないという。

多くの社員が求めているのは、気分転換や、新しいことに挑戦するチャンスだ。多国籍企業の場合は、海外赴任の可能性​​がある場合、現状の会社に止まるというデータもある。

2位以降は、リモートワークなど柔軟な働き方の提供、ハッピーアワーやレクリエーションなど社員同士が交流する場を設ける、予測しやすいスケジュール管理となっている。

卓球台のあるお洒落なオフィスから従業員ウェルネスへの投資へ

ここからは、筆者自身が感じている、各企業のHR方針のシフトチェンジに触れる。

これまで、著名なテック企業は、高い報酬はもちろんだが、ホテルビュッフェ並の食事、カフェのようなお洒落な内装のオフィス、ボードゲームや卓球台などのレクリエーションツールを提供するといったかたちで優秀な人材を集めてきた。

Photo by Jared Rice on Unsplash
Photo by Jared Rice on Unsplash

パンデミックによるリモートワークで、仕事と私生活の切り替えが出来ないことから、燃え尽き症候群がかつてないほど問題になった。先の見えない状況で、多くの人が心の不調を訴え、メンタルヘルス危機も起こっている。

そんな中で、従業員が働きやすい環境を作るためにはどうしたら良いのか、各社が模索している。模索の中で導き出されつつあるひとつの解は、従業員のウェルネスへの投資だ。

下記に具体例を紹介する。

カスタマーサポートソフトウェアのZendeskは、2020年5月からメンタルヘルスの福利厚生を提供するModern Healthと提携し、セラピー、コーチング、ビデオなどのリソースに簡単にアクセスできるようにした。実際、最初の1週間で全世界の従業員の25%が利用したという。