このプログラムを動かすためには、イーサ(ETH)というトークンで手数料を支払わなければなりません。この手数料のことをガス代(コンピュータを動かすためのガソリンの意味)と言いますが、Ethereum上では現在、多くのプログラムが動いているため、絶えず多数のトランザクションが発生しており、ガス代が高騰する傾向にあります。場合によっては、数千円からときには数万円もかかってしまい、大金がないとしょっちゅうはプログラムを動かせません。

これを回避するために、Ethereumの上に処理を高速化するための仕組みとしてLayer2という上位のブロックチェーンが登場したり、Ethereumに対抗するブロックチェーンが登場したりしていますが、どれが市民権を得ていくのかという問題もあります。

こういったベースとなる技術も進歩しながら、その上のプロトコルやアプリケーションが開発されている混沌とした状態は、1990年代のインターネットを彷彿させます。

2000年代になってやっとWeb 2.0が定義され、多くの人がウェブの使い方を理解したように、われわれはWeb3の世界についてやっと理解をしようとしています。

前出のクリス・ディクソン氏は「スキューモーフィック(skeuomorphic)」という言葉で現状を説明しています。スキューモーフィックとはデザイン用語で、現実世界のオブジェクトを模倣して、その表現方法とユーザーとのインタラクションの方法を決めることを指します。ディクソン氏は、現在のWeb3アプリケーションで実現しようとしていることが、Web 2.0時代のアプリケーションをなぞろうとしていることを言おうとしているのでしょう。

もちろん、これは大事なプロセスではあると思いますが、最終的にはWeb3のネイティブのアプリケーションはこれから登場してくる、見たこともないようなものになるかもしれません。

ですから、今われわれにできることは、まずはこの新しいテクノロジーを使いこなし、評価して、自らも作る側として参加することだと考えます。