コンビニでのコスメ販売はブルーオーシャンだった

大槻:まず最初に聞きたいのは「コンビニに注目した理由」です。ノインはこれまでに​​化粧品ECプラットフォームを展開してきました。なぜ、コンビニを中心に商品を展開していくことにしたのでしょうか。

渡部:とてもありがたいことに、sopoは販売開始から1年半ほどで累計販売数約100万本を突破しました。この勝因は「化粧品業界の誰もがコンビニに注目していなかった」ことにあると思っています。つまり「コンビニ×コスメ」の市場がブルーオーシャンだったんです。

そもそも、コスメなどの化粧品のEC化率はファッションなどと比べて低い。コロナ禍で日本のEC化率は約8%になりましたが、化粧品はいまだに7%以下。化粧品ECプラットフォーム「NOIN」も、この課題感からスタートした事業でした。

これまで、化粧品の販売ルートは百貨店がメインと言われてきました。しかし、百貨店もインバウンド需要が消失したほか、コロナ禍による臨時休業、時短営業などで客足が遠のき、特に地方では閉店が相次いでいます。そのなかで一気に売上を伸ばしてきたのがドラッグストアでした。とはいえ、そんなドラッグストアでも化粧品販売についてはまだまだ課題があります。

大槻:どのような課題でしょうか。

渡部:ドラッグストアにおける化粧品の販売パターンは2つあります。1つ目は、店舗の壁に陳列カセットごと置かれているパターン、もう1つは平置き台に化粧品が積まれているパターンです。大手化粧品メーカーの商品は前者、そうではないものは後者の形で陳列されていました。そうした状況の中、新たな化粧品メーカーが参入するのは至難の業とも言えます。

その結果、何が起こっているのか。地方ではSNSなどでトレンドのコスメが手に入りにくくなっています。首都圏であれば、ネットで情報収集して職場や学校の帰り道で買えますが、地方はそうではない。コスメを購入できるタッチポイントの数が大きく異なるため、欲しいと思っても購入できない人たちがいる。僕たちはそうした状況に目をつけました。

 

sopoの専売元であるファミリーマートは全国に1万6600店舗あり、それこそ地方にも多く出店しています。いつもの帰り道とは一本違う道を通れば遭遇するくらいの確率です。そこで「ノインの商品をファミリーマートに置くことができたら、トレンドコスメを購入するタッチポイントを増やせるかもしれない」と考えたんです。

大槻:ファミリーマート側とは、どうやって話し合いを進めたんですか。